スイス中銀ジョルダン総裁、9月末に退任 任期終了待たず

John Revill Dave Graham

[チューリヒ 1日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は1日、ジョルダン総裁が9月末で退任すると発表した。スイス政府は2020年にジョルダン氏を総裁に再任しており、本来の任期は27年までだった。

中銀理事会などは声明で、総裁の決断について「非常に残念」とした上で、「長年の卓越した貢献」に謝意を表明した。

現在61歳のジョルダン氏は1997年に入行。2007年5月に金利を決定する理事会のメンバーになった。12年1月以来12年以上にわたって総裁を務めた。

ジョルダン氏は声明文を発表し「さまざまなチャレンジを経験し、今が退任するに適切な時期だと考えた」と説明した。

記者会見で「07年5月1日に理事会メンバーに就任して以来、危機に次ぐ危機が発生し、静かな時期はほとんどなかった」と回顧。昨年には、スイスの金融最大手UBSによるクレディ・スイスの救済合併を円滑化させるための緊急融資提供にも関与した。

ジョルダン氏は、クレディ・スイスを巡る案件は早期退任の決定に何の影響も及ぼしていないと言及。21年に受けた心臓手術も関係ないとし、退任の背景に健康問題があるわけではないと語った。

後任候補には、シュレーゲル中銀副総裁のほか、中銀理事を務めたアンドレア・メクラー氏らの名前が挙がる。メクラー氏は昨年、国際決済銀行(BIS)に移籍。スイス中銀初の女性理事だった。

Jサフラ・サラシンのエコノミスト、カーステン・ジュニウス氏は「ジョルダン氏は素晴らしい仕事をした。後を継ぐのは非常に困難だろう」としつつ「しかし、中銀の意思決定を広げる好機でもある」と指摘した。

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