災害への備え何している? 避難場所確認、安否確認方法チェックも半数以下 防災訓練参加は1割届かず

 読者とつながる報道に取り組む全国20の地方紙による2024年の合同アンケートで、下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)は自社の読者向けに家庭で実施している災害の備えについて尋ねた。食料や飲料の備蓄は6割を超えた一方、家具の固定や避難訓練への参加、避難場所の確認などは軒並み半数を下回った。

 アンケートは各紙が2月にLINE(ライン)や紙面などで呼びかけた。設問は、内閣府などが推奨している災害への備えなどを参考に設定した七つの選択肢から、該当する複数項目を選んでもらった。アンケート協力者のうち、下野新聞のLINEアカウントをフォローをしている161人が回答を寄せた。

 最も割合が高かったのは、「食料や飲料などの備蓄」で64.6%に上った。

 次点以降は「避難場所の確認」が40.4%、「家具の固定や配置の工夫」が39.1%、「家族同士の安否確認の方法」が33.5%、「住宅の耐震化」が25.5%などと続いたが、いずれも半数を割り込んだ。

 特に低調だったのは、「自治会やマンション管理組合などの防災訓練への参加」で9.9%と、1割すら割り込む結果になった。他の選択肢では、女性の方が男性よりも備えをしている割合が高かったが、防災訓練に限っては女性が4.3%と、男性の14.4%を下回っている。

 宇都宮大地域デザイン科学部の近藤伸也(こんどうしんや)准教授(防災マネジメント)は、低調な項目が多かったことについて「避難場所の確認は低コストでできるにも関わらず低い。今の準備状況で災害時にどうなるかイメージして備えるといい」と指摘した。

 また防災訓練への参加が少ないことについては、「新型コロナウイルス禍の影響が小さくなり、地域のイベントが元に戻り始め、防災訓練に参加する余裕がないのかもしれない。地域のイベントに防災の要素を組み込むのがいい」と提言した。

ハザードマップ「理解」は4割

 アンケートでは回答者全員(4681人)を対象に「あなたの地域で『ハザード(防災)マップ』を見たことがありますか」という設問も設けた。

 ハザードマップは、洪水や土砂災害など分野別に、被害が発生する地域や被害の程度などを予想し、地図に落とし込んだ資料。各家庭にとっても、避難場所の確認などに役立つ。

 全体では「内容を理解している」「見たことがある」と答えた人は90.7%に上るが、「内容を理解している」に限れば、37.5%にとどまる。「見たことがない」層も9.3%いた。

 栃木県在住と答えた169人では、「内容を理解している」は40.2%で、全体平均よりもやや高い。「見たことがある」は47.3%、「見たことがない」は12.4%だった。

 ◇      ◇

 アンケートは以下の20紙が参加しました。 岩手日報、河北新報、秋田魁新報、福島民報、福島民友新聞、下野新聞、新潟日報、北陸中日新聞、福井新聞、信濃毎日新聞、静岡新聞、中日新聞、京都新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、琉球新報、日本農業新聞

© 株式会社下野新聞社