リカルドの好調さを「望むところ」と受けて立つ角田裕毅、注目のRB「チーム内対決」で同僚との関係性に言及

2024年のF1は2月29日、バーレーンで開幕。ここから、史上最多24レース(+スプリント6戦)の熱い戦いが展開されていくことになるが、これに対する興味のポイントは無数に存在するだろう。
そんな中で、英国のF1専門メディア『PLANETF1.COM』は「F1がバーレーン・グランプリでスタートするにあたっての6大ミステリー」と題した記事において、注目点のひとつとして「ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)がどのポジションに入るか?」を挙げ、以下のような展望を示している。

「RBは、今季からレッドブルとの関係がより緊密になり、アルファタウリからの再ブランド化が行なわれることを考えると、パドックで最も大きな興味のひとつになる可能性がある。ダニエル・リカルドは、自身が『まずまずの車』をドライブしていると認めつつも、レッドブルの姉妹チームに対する周囲の期待を抑えようとしているが、チームとしては今季、中団争いのトップを目指す意向を示している」

「イタリア・ファエンツァのチームは、ミナルディ時代からさかのぼっても、コンストラクターズチャンピオンシップで6位以上の成績を残したことがないが、上位グループ(レッドブル、メルセデス、フェラーリ、マクラーレン、アストンマーティン)の強さを考えると、今季トップ5に入るためには、大きな課題が待ち受けているだろう」

このように注目度も期待度も高いRBだが、その新型車「VCARB01」を駆る両ドライバーに対しても同様である。今季でF1キャリア4年目を迎える角田裕毅は、昨季の成長ぶりが多方面から高評価を受けたこともあり、前評判の高い車を得た今季は大きな飛躍を遂げられるかが興味深いところだが、英国の日刊紙『The Guardian』は、「F1史上最悪の名前を持つチームだが、直前テストでは早くも成果を残し、今季は定期的なポイント獲得が目標とされる」と評したRBの、日本人ドライバーについて以下のように綴った。

「アブダビでの素晴らしい走りで2023年シーズンを締めくくり、リカルドの存在によって新たな活力を得た角田は、これまでのF1キャリアにおいて駆った中では最高の車を持つことになるだろう。年々進化を遂げているとはいえ、リカルドを上回るのは簡単なことではないが、ライバルとの熾烈な戦いを展開することになるチームにとって、それは非常に貴重なことである」

このように、RBにおけるチーム内対決にも多くの関心が寄せられているが、それはチーム内での主導権争いというだけでなく、セルジオ・ペレスの去就次第では来季のレッドブルのシート争奪戦という様相を呈するからであり、ともにレッドブル昇格を明確な目標に挙げている中では、ここでも熾烈な戦いが予想される。
角田は、ライバルであり、また経験豊富な先輩であるリカルドについて、「ダニエルは、僕が持っていないものを持っています。それはコントロール力です。チームが彼を評価する点として、フィードバックの能力がありますが、この点でも彼はずっと優れており、僕はそれを学んでいる最中です」と評価する(『PLANETF1.COM』より)。
また、「彼は今季の我々の車に対して、明らかに快適さを感じており、素晴らしい状態に戻っていると思います。それは僕にとって望むところであり、速いドライバーに挑戦したいと考えています」と語り、ライバル意識も垣間見せるが、それ以上に違う関係を彼は意識しているようだ。

「現時点で我々は、車を改善していく上で、互いの意見を共有できていると認識しています。彼は純粋にチームメイトです。ここまで上手くやれており、今季どうなるかは実際にやってみないと分かりませんが、きっと大丈夫だと思います」

一方で、「F1では、主な競争相手は他チームのドライバーではなく、チームメイトになります」ということも指摘しており、当然ながら最も身近な存在を意識するのは間違いない。助け合う姿勢を示しながらも、レースを重ねていく中で、その関係性に変化が生まれるのかどうか、彼らのパフォーマンスや結果同様に注視していきたい。

構成●THE DIGEST編集部

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