Susanna Twidale
[ロンドン 1日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は28日、世界のエネルギー関連の二酸化炭素(CO2)排出量が昨年、過去最高を記録したとの報告書をまとめた。
干ばつで水力発電量が減少し、化石燃料の使用が増えたことが一因。
「パリ協定で定められた世界的な気候目標を達成するには、排出量の急減が必要だが、急減どころか、過去最高を記録した」としている。
昨年の世界のエネルギー関連のCO2排出量は4億1000万トン(1.1%)増の374億トン。2022年は1.3%増だった。
風力発電、太陽光発電、電気自動車(EV)といったクリーン技術の世界的な普及が排出抑制に寄与したが、中国経済の再開、水力発電量の少ない国での化石燃料の使用増加、航空部門の回復が排出量の拡大を招いた。
排出増加分の約40%(1億7000万トン)は、干ばつによる水力発電量の減少を補う措置が原因。「この影響がなければ、世界の電力セクターの排出量は昨年減少していた」という。
米国のエネルギー関連排出量は4.1%減。電力部門の排出削減が目立った。
欧州連合(EU)のエネルギー関連排出量は9%近く減少。再生可能エネルギー発電の急増や、石炭・ガス発電の減少が背景。
中国のエネルギー関連排出量は5.2%増。新型コロナウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)が解除され、エネルギー需要が拡大した。
ただ、中国は昨年の世界の風力発電、太陽光発電、EVの増加分の約60%を占めた。
EVは昨年の世界の新車販売の2割を占め、1400万台に達した。前年比で35%増加した。