引退示唆の男子テニス元王者マリーの最終目標はパリ五輪か?「この夏が終わったらあまりプレーするつもりはない」<SMASH>

「数カ月以内の引退」を示唆していた男子テニスの元王者アンディ・マリー(イギリス/現世界ランキング67位)が、より具体的な引退時期を示しつつ、パリ五輪出場への意欲を示した。

現在開催中の「ドバイ・デューティフリー選手権」(2月26日~3月2日/UAE・ドバイ/ハードコート/ATP500)の1回戦で勝利した36歳は、試合後のインタビューに答えるかたちで「おそらく私に残されている時間はそれほど長くない、この数カ月間は最善を尽くすつもりだ」と語り、“数カ月以内”で現役生活から退く可能性を示していた。

キャリアの幕引きについて、改めて言及したのは同大会2回戦の後だ。第5シードのユーゴ・アンベール(フランス/同18位)に2-6、4-6で敗れたマリーは、会見でこう語った。

「正直言って、その質問には飽きたよ。辞める時が来るまでの間、これ以上話すつもりはない。でも、この夏が終わったらあまりプレーするつもりはないんだ」

今夏にかけては、全仏オープンは6月26日から7月9日、ウインブルドンは7月1日から14日まで開催される。グラス(芝)コートの季節が終わると、8月からは北米ハードコートのシーズンに突入だ。しかし、今年はその前にパリ五輪があり、テニス競技は7月27日から行なわれる。

英メディア『BBC』のラジオ番組でパリ五輪について問われた際にマリーは、「また次の大会に出場するチャンスがあればいいんだけどね」と返答。パリ五輪と同じ会場で行なわれる全仏オープンに出る予定であることも明らかにしている。全仏に出場すれば2020年大会以来4年ぶりとなる。
彼のキャリアを振り返れば、五輪への出場意欲もうなずけるはずだ。マリーは2012年と2016年の五輪でシングルス連覇を果たしているが、いずれも自身のステップアップにつながる大きな勝利だった。

2012年は直前のウインブルドンでイギリス人として74年ぶりの決勝進出を果たすもロジャー・フェデラーに敗退。しかし、同じ会場のロンドン五輪決勝ではフェデラーとの再戦を制した。自信を深めて臨んだ全米オープンでは悲願の四大大会初優勝を果たしている。

また、2016年はウインブルドンで3年ぶり2度目の優勝を遂げ、続くリオ五輪でシングルス史上初のオリンピック連覇を達成。11月には初めて世界ランキング1位に上り詰めた。

鉄人の現在の世界ランキングは67位。現状ではパリ五輪の出場権を得られない可能性があるが、ここから浮上して雄姿を見せてもらいたい。出場権の基準となるのは、6月10日のランキングだ。

なお、五輪のシングルス出場枠は、男女それぞれランキングの上から順に56選手、一国最大4人に与えられる。また他にも、大陸別大会の優勝者または決勝進出者に与えられる「国際テニス連盟枠」(6枠)、三者委員会が決めるユニバーサリティ枠(1枠)がある。

構成●スマッシュ編集部

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