カイザー・チーフス、5年ぶりのニューアルバムリリース ナイル・ロジャースらがプロデュース参加

カイザー・チーフスが、5年ぶりのニューアルバム『Kaiser Chiefs’ Easy Eighth Album』を本日3月1日にリリースした。

今作には、サム・スミスやエド・シーランなどを手掛けるアミール・アモール、シックのナイル・ロジャースらがプロデュースに参加した全10曲を収録。持ち前のクラシックなインディーロックをベースに、彼らが幼少期に聴いていた80年代ポップをミクスチャーしたサウンドにインスパイアされている。

アルバムタイトルについて、リッキー・ウィルソン(Vo)は「僕はピンク・フロイドやR.E.M.のように、8枚目のアルバムで本格的に飛躍したバンドにいつも魅せられてきた。これまで作った中で、最も容易なアルバムを作ろうと僕たちは決めました。世界的なパンデミックのせいで、思ったよりも時間は掛かってしまったけれど、8枚もアルバムを作っているのだから容易にできるはず。良いものを作るのだから苦労するわけありません」と語っている。

今作は、これまでの作品に匹敵するほど強力で、まとまりのある作品集だという。いつものトレードマーク(キャッチーなリフ、共感できる歌詞、一緒に口ずさめるコーラス)を踏襲しつつ、さらにエレクトロニクス、ダンス、ポップへと向かっている。

ロンドンのメイジャー・トムズ・スタジオの創設者でもあるアミール・アモールは、今作においても重要な役割を果たしているという。ウィルソンは「アミールとの出会いは素晴らしかった。あるものは寸分の狂いもなくプロデュースできること、あるものは全くプロデュースする必要がないことを彼は教えてくれました」と語る。

アミールの参加はナイル・ロジャースの提案によるもので、ナイル自身も「Felling Alright」「How 2 Dance」の2曲に参加。ウィルソンは「彼が手掛けてきた作品のあれこれについて、質問攻めにしましたよ。でも、そういう人一緒に仕事をするのだから、本気で勝負することが大切なのです」と笑った。

アルバムのオープニングを飾る3rdシングル「Feeling Alright」は、ナイル・ロジャースとの初期セッションから生まれたもの。ダイナミックで威勢のいいファンキーなスタイルというこのアルバムの全体のトーンを決定付けている。5人全員が一緒にジャムを重ねて“みんなを笑顔にする”曲を作り出す、というバンドの基本的プロセスは、初期から変わっていないという。

「Aメロとサビの構成だけど、でもケオティックにしたかった」とウィルソンは語る。「歌詞に怒りがあるとすれば、誰もが生活に苦しむ現状下、それが必要だから。僕はレコードで悪態をつくのは好きではないが、Fワードを使って上手くいったなと思っています」。

2012年にドラマー兼共同創設者のニック・ホジソンの脱退したが、後任のヴィジェイ・ミストリーは、現在前任者より長くバンドに在籍。アルバムのラストを飾る「The Lads」は、そんな彼らの絆について歌われる。

「長い間一緒に活動して、僕たちはさまざまなことを経験してきた。人々は浮き沈みを経験する。浮く時は最高。沈む時は……みんなで一緒に、公の場ではないところで乗り越えること。いつも思うのは、アルバムのラストを飾る曲は、自分たちの最後のアルバムの曲となっても後悔しないような曲で締め括るべきだということ。……あ、でも、もちろんこれが最後のアルバムではないけれど!」と、ウィルソンは語った。

(文=リアルサウンド編集部)

© 株式会社blueprint