金沢・長町で間借り営業 地震後休業、田鶴浜のイタリアン 

料理を提供する桶谷さん(右から2人目)=金沢市長町1丁目

  ●能登の飲食店を活気づけたい

 能登半島地震後、休業していた七尾市田鶴浜町のイタリアンレストラン「フィオリキアリ」は1日、金沢市長町1丁目のパン店「ひらみぱん」で間借り営業を始めた。田鶴浜出身で、ひらみぱん社長の平見高広さん(46)が、能登の飲食店を元気づけたいと無償で貸し出した。オーナーシェフの桶谷晃さん(42)は同郷のつながりに感謝し、64日ぶりに腕を振るった。

 フィオリキアリは、都内のイタリア料理店に勤めていた桶谷さんが両親を支えようと田鶴浜に戻り、昨年9月に開業した。能登の食材を使った本格的なコース料理を売りにしている。

 店舗に目立った被害はなかったものの、桶谷さんの両親が切り盛りする隣接の民宿と自宅が半壊した。家族が店舗で暮らすために店は休業した。

 「頭が真っ白だった。それでも動き出そう」と決意した桶谷さんに、休業を聞きつけた平見さんが「ずっと気になっていた地元のお店。力になりたい」と救いの手を差し伸べた。

 フィオリキアリは、コロナの影響で取りやめたディナーの時間帯に間借り営業する。初日はリゾットやラビオリ、氷見牛の炭火焼などを楽しめるコース料理を11人に振る舞った。営業日は1~4日、8~11日で、予約は既に埋まっている。

 店名はイタリア語で「輝く聡明な花」。桶谷さんは「営業再開に向け、金沢の人にフィオリキアリを知ってもらうチャンス」と張り切る。平見さんは「能登の飲食店が活気づくような活動を行っていきたい」と話した。

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