【震災・原発事故13年】薄磯海岸で津波の不明者捜索 福島県警いわき中央署、経験と教訓継承

薄磯海岸で行方不明者を捜索する署員=福島県いわき市

 福島県警いわき中央署は1日、いわき市の薄磯海岸で東日本大震災の津波による行方不明者を捜索した。震災の発生から間もなく13年。ベテラン署員が震災の経験と教訓を若手署員に伝えた。

 署員約30人が砂浜を削り、手がかりを探した。同署では震災発生以降に採用された署員が全体の半数を超えた。捜索を前に警務課の本間和典課長と地域課の小松博司巡査部長が震災発生当時の経験を語った。

 この春に定年を迎える本間課長は震災発生当時、県警本部生活環境課に勤務していた。専用ダイヤルに寄せられる行方不明者の家族からの相談や、遺体安置所での遺族への対応などに当たった。ダイヤルには東京電力福島第1原発事故で立ち入りが制限された地域での捜索を求める声も届いたという。本間課長は「被災者の心情を理解し、できることを実践してほしい」と若手署員に呼びかけた。

 いわき中央署管内では津波で267人が犠牲になり、今も23人の行方が分かっていない。

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