これは筆者が知り合いから聞いた、長年連れ添った夫婦のエピソードです。不仲だったはずなのに、旦那がとったある行動で、妻は涙が止まらなくなってしまい……?
冷え切った関係の旦那が、急に話しかけてきて……
私は40代の専業主婦です。
結婚して20年の旦那とは仮面夫婦状態で、もう何年も会話らしい会話をしていませんでした。
ついには私の作った料理にすら手をつけなくなったので、見かねた10代後半の娘2人から「もう離婚してお互い新しい人生を歩めば?」と言われるほど。
そんなある日、珍しく旦那が話しかけてきて、こんなことを言いました。
「万が一私の身に何かあったら、書斎の本棚の右上にある白いファイルを見なさい」
(まだ50歳になったばかりなのに、もう終活? 気が早いのね)なんて思いながら聞き流していた私。
しかしその半年後、旦那は仕事中にくも膜下出血で倒れ、病院に運ばれました。
そして意識が戻らないまま、3日後に帰らぬ人になってしまったのです。
旦那の残した「白いファイル」の中身
葬儀には旦那の会社の上司や同僚、古くからの友人が駆けつけてくれました。
そこで私は、旦那には以前から脳の血管に異常があり、塩分を控えていたと人づてに聞きました。その時、初めて知ったのです。
(だから私の作った料理を急に食べなくなったのね。普段からコミュニケーションの取れた夫婦であれば、旦那はもっと長生きできたかもしれないのに)
私は旦那との関係に向き合わなかったことを、ただただ後悔しました。
そして葬儀が終わった後、旦那が言っていた「白いファイル」のことを思い出しました。
旦那に言われた場所には、確かに白いファイルが。
ファイルの中は5つに区切られており、1つ目は預金通帳と印鑑、2つ目は生命保険の書類……といったように、大事なものが丁寧に分けて入れられていました。
順番に見ていくと、最後の5つ目には、白い紙が1枚だけ入っていました。
白い紙には旦那の丁寧な字で「うまく愛せなくて申し訳なかった。どうか幸せになって」と。
旦那が亡くなってから一度も泣いていませんでしたが、その時は涙が止まりませんでした。
最後に
この奥様は、旦那様が生きている時に色々と話し合いができなかったことを、今でも後悔しているそうです。
一緒にいるのが当たり前だと思わず、こまめに感謝の気持ちを伝えるなど、コミュニケーションをとることの大切さを考えさせられるエピソードでした。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Hinano.N