私の住んでいる地域で雪が積もることは、年間を通して何日もありません。
そんなわけで、10センチも積もってしまうと、街はちょっとしたプチパニック状態。
この話は、そんな私の暮らす街には珍しい、雪の降り積もった日に起きた体験談です。
どうしてこんな日に限って!
運転の苦手な私は、駅に子供を送り迎えするくらいしか車を運転しません。
しかし、珍しく大きなぼたん雪が降り積もったある日。
どうしても車で出かけなければならない用事ができてしまい、私は緊張しながらも仕方なく車に乗り込み、細心の注意を払ってゆっくりと走行し始めました。
スーパー前の長蛇の路上駐車
あるスーパーの角の交差点を右折した瞬間、私はハッとしました。いつもは難なく通れる道に、その日はずらっと路上駐車の列がありました。
大雪で買い物に出られなくなる前に、食料品を仕入れておこうという近隣の人たちが、一気にスーパーに押し寄せたのです。
スーパー横、150m程のその道は、片側1車線の、歩道がないに等しい細い田舎道。
先に進むには路上駐車の車を避けて、ほぼ対向車線を走行しなければなりません。
フロントガラスに激しく降り続くぼたん雪をワイパーがかき分けます。
対向車が来ないことをしっかり確認して、私は緊張感と共に、ゆっくりと前に進み始めました。
その時、対向車が……
もう少しで路上駐車の列を追い越し、対向車線から自分が走行すべき車線に戻れるというところで、前から対向車が現れました。
そして、私が対向車線を抜けようとしている中、どんどん私の車めがけて走ってきます。このままでは互いにぶつかってしまいます。
驚いて私は停車しました。対向車線に2台の車が向き合う形となり、戸惑っていると、突然、ヘッドライトをハイビームにして、ビーーーっと大きくクラクションを鳴らしてきたのです。
私はパニックで動けなくなりました。
目の前の車はブオンブオンとわざとアクセル音を鳴らし、容赦なく迫ってきます。
恐ろしくなった私は、選択の余地なく、ゆっくりバックをし始めました。
救世主現る
バックしながら、恐怖で手足が震え、呼吸も浅い状態でした。
するとその時、おもむろに運転席の窓に人影が現れ、窓を叩きます。
私は驚きと恐怖で飛び上がりました。
「どうしましたか?」
警察官の制服が目に入り、安心感で涙がドッと溢れました。
まとめ
雪道パトロール中の警察官が相手の運転手に話をしてくれたようで、相手がバックをして道を空けることで、私は前進でその道を抜けることができました。
対向車線の車も急いでいただけかもしれませんが、たまたまパトロールの警察官に現場を見つけてもらえて、本当に救われた出来事でした。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Mie.W