給食無償化交付金「全市町村平等」 宮下青森県知事、公平性強調 「不公平」の声受け

 小中学校給食費の全県無償化に向け県が創設する交付金制度で、宮下宗一郎知事は1日、既に無償化済み市町村の首長や議会から「不公平」との声が出ていることを受け、報道陣に「交付金の算定基準は全ての市町村に平等。ばらつきはない」と説明し、算定基準上の公平性を強調した。無償化済み自治体には給食費と同額分を上限に、別の子育て支援事業に充ててもらう仕組みとしたことについては「単なる(給食費だけの)財政支援だと子育て支援が広がらない」と主張。来週中に市町村長への説明会を再度開く意向を示した。

 県の説明によると、今回の交付金は全40市町村の給食費平均単価を割り出し、小中学生の人数に応じて各市町村に必要経費を配分する。無償化していない23市町村は交付金を活用して無償化するよう促す。一方、無償化済みの17市町村は交付金を給食費に活用することはできず、別の子育て支援事業に充当してもらう。

 県の方針に対し、独自に無償化の財源を捻出してきた地域からは「誰が見ても不公平感がある」(佐々木孝昌五所川原市長)などの声が上がっているが、宮下知事は「報道が先行し、一部に誤解が広がっている」として、1日の県議会散会後、報道陣を前に説明する機会を設けた。

 宮下知事は、40市町村ごとの交付上限額を一覧で示し、「交付金は全ての市町村に平等に準備している」と強調。「県として譲らない一線は、既存の事業には(予算を)出さないということ。自治権の侵害になる」とし、交付金を既存の事業に充てることを認めると、それによって浮いた予算を子育て支援以外に使われる可能性も指摘した。

 給食費以外の事業は市町村に2割負担を求めることにも疑問の声があるが「仮に県が10割支給すると、それは市町村の事業でなく県の政策になる」との主張を展開した。

 1日は県議会一般質問でもこの問題が取り上げられた。三橋一三議員(自民)は「現在無償化していても5割の充当を認めるなど、弾力的な運用の方が自治体が受け入れやすいかもしれない」と指摘。田名部定男議員(新政未来)は「交付される側が混乱している。(無償化財源の一律交付という)単純な方法にすべきだ」と提案した。

© 株式会社東奥日報社