長濵騎手(青森・おいらせ出身)2日デビュー「冷静に」 JRA27年ぶり県勢

27年ぶりの青森県出身JRA騎手となった長濵騎手。2日のデビュー戦に向け闘志を燃やす=2月28日、茨城県の美浦トレーニングセンター

 27年ぶりに誕生した青森県出身の日本中央競馬会(JRA)騎手・長濵鴻緒(こお)騎手(18)=おいらせ町出身、美浦・根本康広厩舎(きゅうしゃ)所属=が2日にデビュー戦を迎える。夢の第一歩に向け「ついにお客さんの前でレースができる。得意なスタートを決めて、冷静に騎乗したい」と闘志を燃やしている。

 小さい時から馬が大好きだった。見た目はもちろん、乗馬体験で背にまたがり揺られるのが楽しかった。「身長の順で並ぶ時はいつも先頭」と笑う小柄な体格だったこともあり、父・勝さん(47)と母・由李江さん(36)が騎手という職業を教えてくれたのは下田小3年生の終わり頃。十和田市の乗馬クラブで本格的に学び始めると、「絶対ジョッキーになる」と心に決めた。

 競馬とは縁もゆかりもない家庭から騎手となるのはハードルが高い。「本気で騎手を目指していた僕を、両親が全力でサポートすると決めてくれた」と、5年時にJRA美浦トレーニングセンターがある茨城県へ家族6人で転居。同センターの乗馬苑で技術を磨き、合格率5~10%ほどの競馬学校に一発合格した。

 騎手への道の扉を開いたものの「周りは競馬関係者の子どもばかり。そんな中で自分が本当にジョッキーになれるのかと不安もあった」と本音を明かす長濵騎手。モットーとする「堅忍不抜」を支えに減量に耐え、騎乗技術を磨いて馬の知識を高め、2024年度の新規騎手免許試験合格を果たした。

 2月6日の競馬学校卒業式には、日本騎手クラブ会長の武豊騎手(54)が出席。同じ40期生の仲間とともに、レジェンドから「日本の競馬は世界一ファンが多い。10万人の観客の前で先頭でゴールすることは素晴らしいことで、それが味わえるのは騎手だけ。そのことを誇りに歩んで」と激励を受け、「豊さんの言葉は響いた。気合が入った」と振り返った。

 青森県出身のJRA騎手は武士沢友治騎手(46)=三戸町出身=以来27年ぶり。現役では最年長の柴田善臣騎手(57)=東北町出身=を含め3人となり、長濵騎手は「大好きな馬と仕事をできるのはうれしいこと」と声を弾ませる。「1期生から今も活躍を続けるのは、人としても、技術的にも周りからの信頼がないとできない」と、大先輩の柴田騎手を理想像として掲げる。

 デビュー週の2、3日は中山競馬場の計3レースに騎乗予定で、2日の第1レースが初戦となる。「青森は元々馬の生産が盛んだったところ。また前のように有名になってほしいし、僕を見てジョッキーを目指す人も増えてほしい。堂々と真っすぐ乗りたい」と、郷土への思いも胸にターフを駆ける姿を思い描いた。

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