部員不足で大会中止…栃木県の「お家芸」ホッケー 強豪校も抱える問題

練習で競り合う鹿沼東の選手たち。全員が中学まで競技未経験者だった=同校

 2月に開催予定だったホッケーの栃木県高校新人大会が男女とも中止となった。各校の部員不足が理由で、新型コロナウイルス下の2020~22年大会を除き、男女そろっての中止は初という。少子化に伴う生徒数減少の影響は大きく、栃木県の「お家芸」とも呼ばれる競技でも部員確保が課題となっている。

 県高校体育連盟ホッケー専門部には今市、鹿沼、鹿沼東の各男女と、今市工の男子が所属。新人大会の最低登録者数は11人だが、いずれも届かず、最多は女子鹿沼東の10人だった。同校監督でもある湯澤健人(ゆざわけんと)専門委員長(33)は「1校でも11人がそろえば、他の学校同士で合同チームを組み、大会はできたかもしれない。ここまで部員数が少ないのは想像以上」と戸惑いを隠さない。

 ホッケーの新人大会は全国大会へは直結しないが、新チームの力を測る場であり、春以降の関東、全国大会を見据えた貴重な機会でもある。それだけに鹿沼東女子の2年篠原香(しのはらかおり)主将(17)は「練習の成果を出す場がなくなり残念」と落胆する。

 強豪校として全国で知られる今市にも、部員不足の波が押し寄せた。3年生が抜けて残った部員は男子8人、女子5人。木村浩一郎(きむらこういちろう)監督(30)は「ホッケーはマイナー競技。他県の強豪校でも同じ問題があり、全国的な傾向」と受け止める一方、部員確保は競技力の向上のためにも必要と指摘。「学校単位での強化は限界を迎えている。垣根を越えて取り組む必要性がある」と強調する。

 鹿沼東は中学3年生対象の1日体験学習などで積極的に魅力を紹介し、部員確保に努めている。男子主将の1年大塚圭登(おおつかけいと)(16)は「入学するまで見たことも聞いたこともなかった」という競技未経験者だったが、「シュートを決めた時が楽しい」とスキル向上へ励む。

 同校は今後、同市内の鹿沼とも連携して地元の小中学校で体験会を開くことも検討中という。湯澤専門委員長は「生徒数が少なくなる中、ホッケーという競技を知り選んでもらえよう、積極的に働きかけていきたい」と話している。

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