やっぱり故郷珠洲がいい 津波危険区域でも 仮設入居2カ所目始まる

設備を確認する桜井さん夫婦=2日午前9時半、珠洲市みさき小グラウンド

  ●みさき小グラウンドに50戸

 珠洲市みさき小グラウンドで2日、能登半島地震の被災者向けに建設された応急仮設住宅50戸への入居が始まった。珠洲での入居は正院小グラウンドに続き2カ所目となる。建設地は市の津波浸水想定区域に含まれる。住民は津波への不安を漏らす一方、「やっぱり住み慣れたふるさとが一番や」と住まいを確保できたことに安どの表情を見せた。

 50戸の内訳は、1Kと1DK21戸、2Kと2DK21戸、3K8戸。キッチンや風呂、トイレのほか、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電が備え付けられ、上水の受水槽と下水の浄化槽が設置されている。

 入居者は2日午前、それぞれの住宅に布団や衣類を運び入れ、部屋の間取りを確認した。津波で自宅が全壊した同市三崎町寺家の桜井信芳さん(74)は妻の静子さん(75)と入居し、「暖かい部屋で、水が自由に使えるのは本当にありがたい」と感謝した。

 桜井さんは津波で自宅と納屋を失った。約2カ月間、金沢に住む長女宅に2人で身を寄せていたが「娘に気を遣わせてしまい、心苦しかった」という。

 仮設住宅が整備されたグラウンドは津波浸水想定区域に含まれる。石川県と市は入居前に地震や津波の際の避難経路を住民に熟知してもらっている。櫻井さんは「津波の危険性は承知している。それでも地元で生活したい」と話した。

 市内では正院小グラウンドの40戸と合わせ、計90戸で入居が可能となった。県によると、1日現在、市内で851戸が着工しており、3月末までに456戸の完成を目指している。

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