【1日3分間のメンタル強化法 第6回】怠け者から努力家に変身!弱い自分に打ち勝つために必要な“鬼コーチの存在”<SMASH>

テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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前回(第5回)で、長所伸展法のことについて書きましたが、まずは自分の長所を見つけ出すことが大事です。それを意識して行動すれば長所はさらに磨かれるわけです。そして次なるステップでは、課題克服に取り組む必要が出てきます。

脳の三大原則の1つに「快・不快の原則」というものがあります。楽しいこと、得意なことは誰でもやるのですが、苦手なことは敬遠しがちになります。人間とは本来、怠け者
で「楽して栄光を手に入れたい」と思うものなのです。

しかし、現実の世界はそう甘くはありません。“努力”の2文字を大切にしてきた人たちだけが栄光をつかめます。とはいえ、努力をしてきた人たちにも怠け心はあるはずで、1度や2度は苦しいことから逃げ出したくなったことがあるでしょう。

では、努力できる人と、怠けてしまう人の違いは何でしょうか。それが今月号のテーマである「鬼コーチの存在」なのです。
鬼コーチとは、怠け心が出てきた時に、『何しているんだ! そんなことでは夢は叶わないぞ!』と目を光らせる怖い存在です。

実際には2人の鬼コーチが考えられます。1人目は、本気で叱ってくれる頼りになる人です。くじけそうになったとき支えてくれる人です。家族、コーチ、先生などが考えられるでしょう。

もう1人は自分です。正確には自分の中に鬼コーチを誕生させることです。近くに鬼コーチを託せる人がいなければ、自分で作るしかありません。それができれば百人力です。

以前、ある女子大テニス部の選手たちにこんな質問をしました。「自分の中に鬼コーチを持っている人はいますか?」すると2人の選手が手を挙げました。

彼女たちの進路は、1人は1浪して学校の先生になり、もう1人はアメリカに留学してグローバル企業に勤めています。

テニスの上達だけに限らず、弱い自分を奮い立たせてくれる“鬼コーチの存在”は必要ですよ。

◆解説=椙棟紀男
㈱トレビック代表取締役。アスリートをサポートする、メンタルアドバイザー。様々なスポーツ選手を見ており、テニスでは伊達公子や浅越しのぶを指導した経験を持つ。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2020年8月号から抜粋・再編集

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