地震、雪不足で苦境 県内スキー場 利用客半減の施設も

スキーを楽しむ家族連れ。県内のスキー場は今季、雪不足と地震の影響に苦しんでいる=富山市内

  ●出控え、営業エリア縮小

 富山県内のスキー場が今季、能登半島地震と雪不足で苦境に陥っている。稼ぎ時の年始に地震に伴う設備点検で休業を余儀なくされ、石川県境の施設は出控えの影響をもろに受けた。暖冬傾向でまとまった雪が降らず、休業や営業エリアの縮小が相次ぎ、入り込みが例年に比べて半減した施設もみられる。シーズン終盤の2日は断続的に雪が降り、「ダブルパンチ」にあえぐ施設から恵みの雪に期待する声が聞かれた。

 石川県境に位置するイオックス・アローザスキー場(南砺市)は、利用客の4割が石川県民で能登からの来場も多い。元日の地震で三が日は臨時休業し、4日から営業を再開したが、担当者は「石川からの出控えもあったのではないか」と振り返る。雪不足も顕著で、今月2日時点で営業69日間のうち、21日間は標高の高いゲレンデ上部のみの営業となった。

 同スキー場の入り込み客は約5万1千人で例年の50~60%にとどまる。年始に営業できず、傾斜が緩く家族連れに人気のゲレンデ下部が使えなかったことが響いた。営業は10日までだが、担当者は「もう来シーズンに期待するしかない」とため息をついた。

 立山山麓スキー場(富山市)も、極楽坂、らいちょうバレーの両エリアが1月2、3日に設備点検のため、2月19~22日は雪不足のため休業を強いられた。現時点で売り上げは前年度比25%減、入り込み客数は30%減となっている。

 標高の低い、となみ夢の平スキー場(砺波市)は雪不足でほぼ営業できていない。昨年12月24日にオープンしたものの積雪が足りず、26日に休業。1月27日に再開したが、2日後の29日から再び休業となった。

 牛岳温泉スキー場(富山市)も1、2月は24日間が休みとなった。入り込み客数は営業46日間で約2万2500人。今季目標の6万人には遠く及ばない。営業は今月3日までだが、担当者は「きょうの降雪は恵み。ゲレンデ上部で来週いっぱいまで営業し、少しでも稼ぎたい」と延長を決めた。

 あわすのスキー場(同)も雪不足に悩み、松井一洋支配人は「地震、コロナ明けによるレジャーと観光の多様化、物価高を加えた4重苦だ」と嘆く。一方で台湾など海外客の利用もあって、新たに始めたスキー用具のレンタル店は好調といい、「訪日客の利用は救い。なんとか減収増益を目指したい」と話した。

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