吉久復旧へ住民委員会市との対話窓口に、設置検討開始 液状化被害、高岡・重伝建の町

液状化現象によって道路と住宅に段差が生じた吉久の一部地域=高岡市吉久1丁目

  ●「3年」待てぬ

 能登半島地震で液状化被害を受けた高岡市吉久地区は2日までに、早期復旧に向けて住民主体で委員会の設置の検討を始めた。市側との対話の窓口を担い、生活再建などの支援に関する情報共有を図る。市側が「道路や下水道の復旧まで3年」と見通す中、住民の暮らしを早期に取り戻し、加賀藩の米の備蓄・流通拠点として栄えた重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の町並みを守る。

 委員会は吉久連合自治会を中心に設立の準備を進め、全8自治会の代表者や近隣企業の担当者らで構成する予定。被害の大小に関わらず、地域全体を巻き込んで早期復旧を目指す。

 地区内では吉久1丁目の自治会「第一町」の被害が大きく、家屋の応急危険度判定で調査した51軒中、「危険」は3軒、「要注意」は33軒を数える。重伝建エリアでは、90軒のうち8軒で土蔵や建物外壁が剥がれた。

 第一町を中心に、住宅の沈下による段差や、雨水を流す配管の隆起、住宅の傾き、下水の不具合などの被害が各所で見られる。委員会では、道路や下水道の復旧状況を共有し、住民の要望を市に伝える。支援策などの住民説明会も求める。

 市が2月末、吉久地区で開いた被災者支援策の説明会では、市側は道路と下水道の復旧に3年かかることや、液状化被害の調査結果を秋ごろ公表することを説明。住民からは「住宅を修繕したいが、道路が今のままでは何もできない」など、インフラの早期復旧を求める声が上がった。

 吉久に近接する伏木地区では、震災復旧とまちづくりを考える協議会が2月に発足し、吉久連合自治会も参加した。伏木の協議会の取り組みも参考に、委員会の設立へ準備を進める。吉久連合自治会の西田徹会長(61)は「市との対話を重ねながら、なるべく早く復旧できるように吉久全体で取り組みたい」と話した。

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