被災の国文化財を修復 氷見・湊川沿い「旧藺製品倉庫」 地元民間団体、クラファン実施へ

土壁が崩れた旧藺製品倉庫の土蔵=氷見市朝日本町

  ●にぎわい拠点づくり計画中に被災

 能登半島地震で被災した氷見市湊川沿いの国登録有形文化財「旧藺(い)製品倉庫」の修復に、地元の民間団体が乗りだした。倉庫は、団体が湊川界隈(かいわい)のにぎわい創出の拠点として改修を目指すさなかに激しく損壊した。今後、クラウドファンディングを実施して修繕費を募る予定で、震災にめげず、取り組みを前に進める。

 倉庫は2021年に国文化財に登録された「湊川沿いの倉庫群」の3棟のうち一つ。木造平屋建ての土蔵で、旧氷見銀行の米・農産物倉庫として大正後期に建設された。地震の揺れで、屋内外の土壁が複数箇所で大きく崩れたほか、基礎の石が割れたり、扉が外れたりした。戸前(とまえ)や渡り廊下の被害も大きかった。

 修復に動くのは、市民らでつくる団体「on the Minatogawa(オン・ザ・ミナトガワ)一般社団法人」。同団体は20年から同倉庫と隣接する「旧藺製品作業場」を所有しており、2棟を会場としたイベントを定期的に開き、まちなかににぎわいを生んでいた。

 団体は以前から倉庫の改修を計画していた。土蔵をフリースペース、戸前をコワーキングスペースなどにしようと準備を進めていたところ、能登半島地震が発生し、代表理事の林美湖さんは「全壊も覚悟していた。よく残ってくれた」と胸をなで下ろす。

 今後、文化庁の調査が行われることになっており、合わせてクラウドファンディングを実施する考えだ。林さんは「震災で止まることなく、湊川の素晴らしい景観を生かした倉庫の活用を進めたい。多くの方に協力を呼び掛けたい」と意欲を見せている。

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