活気を連れてきて(3月3日)

 「せでって」は相馬地方で「連れていって」を意味する。南相馬市鹿島区にある高速道サービスエリア併設の「セデッテかしま」は、この言葉を冠した。「プロが選ぶ土産物施設100選」(旅行新聞社)に5年連続で選ばれた▼2015(平成27)年の開所当初、年間利用者を53万人と見込んでいた。ふたを開けてみれば初年度から100万人を突破し、その後も順調に入り込みを伸ばした。コロナ禍の影響で2020(令和2)年度は72万人に減ったが、昨年度は30万人近く増えて大台を回復した。通算1千万人が目前に迫る▼相馬野馬追で、鹿島区の北郷は相馬市の宇多郷を出発した総大将を出迎える。原町区の雲雀ケ原祭場地に向かう途中、総大将と取り巻く軍勢が休憩をとる“サービスエリア”でもある。出迎えの騎馬武者のやりとりが再現される本陣祭は、侍言葉が交わされる名物行事として人気が高い▼セデッテかしまの集客力を生かし、市は周辺開発を始めている。キャンプ場や入浴、乗馬体験施設の整備などアイデアが多数寄せられた。立ち寄り、休憩するだけでなく、野馬追の里に活気を「せでって」くれる。そんなにぎやかな地を目指して、さあ出陣。<2024.3・3>

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