日本では一般的ではないが…英語圏でちゃんと“お客扱い”されるために必要な「ある振る舞い」とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

海外旅行中、「ああ、英語が話せれば…」と思う場面に遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか。英語で心地よいコミュニケーションをとるのは簡単ではないと思われがちですが、「難しい文法は必要ありません。とりあえず自分の希望意思を伝えればいい」と、国内外さまざまな場所への旅行歴が豊富なファッションスタイリストの地曳いく子氏は言います。地曳氏の著書『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』より、詳しく見ていきましょう。

難しい文法は必要なし!旅を助ける3つの英語表現

難しい文法は必要ありません。とりあえず自分の希望意思を伝えればいいのです。それにはとにかく「プリーズ」と「サンキュー」そして「ハロー ハウ アー ユー?」、この3つの言葉でたいていは乗り切ることができます。

何か欲しい時には「物の名前+プリーズ」、欲しいものを指さして「ディスワン プリーズ」と言えばいいのです。それと数。「ハウ メニー?」と聞かれますから「ワン プリーズ」とか「ファイブ プリーズ」とか、欲しい数の後にプリーズをつけて言うだけです。スーパーの量り売りも「ディスワン ハーフパイント(125グラム) プリーズ」と言えば大丈夫。ちなみに1パイントは250グラムくらいです。ひとりでしたらハーフパイントで十分かと。

「プリーズ」は何かをお願いする時にも使えます。「はい、お願いします」も「イエス プリーズ」。プリーズをつけるとイエスだけよりもかなり丁寧でいい感じになります。

何かしてほしい時も「動詞+プリーズ」。「クリーンアップ ルーム プリーズ」で「部屋を掃除してください」になりますし、駅で切符を買う時も「チケットの数+チケット for 行き先 プリーズ」で買えます。タクシーで行きたい場所を伝える時も「行き先+プリーズ」「ゴー トゥ 行き先 プリーズ」。行き先が発音できない場合は、行き先を書いた紙やスマホの画面をドライバーに見せて「This place please. ディス プレイス プリーズ」と言えば大丈夫です。

レストランでメニューを頼む時も「食べたい料理名+プリーズ」で。レストランのメニューにチキンカチャトラ風ポテト添えなど長々書いてあり、オーダーの時に料理名の長さに震えてしまうことがありますが、シンプルに「チキン プリーズ」で大丈夫です。オーダー時に、得意げにメニューの名前を全部つらつら言う人もいらっしゃいますが、そんな必要はありません。チキンとかサラダとかステーキなどメインの食材名にプリーズをつければOKです。何しろ私たちはお客さまなのですから。

またステーキを頼んだ時に「How would you like your steak? ハウ ウジュ ライク ユア ステーキ?」と聞かれますよね。これはステーキの焼き方を聞かれているのですが、まあ、「ミディアム レア プリーズ(普通やや生めで)」と答えておけば間違いないでしょう。よく焼いた肉がお好きな方は「ウェルダン プリーズ」です。

ちなみにレストランで使う英語で、ソースやチーズなどをかけてくれる時に「ここまででいいや」となったら、皆さんはなんと言いますか? 私は「ストップ」とか言っていたのですが、地元のネイティブな友達に「いく子、そういう時はフォエンって言うんだよ」と直されました。私の聞き取り能力では「フォエン」としか聞こえなかったのですが、確かに次からは「フォエン」と言って通じています。

欧米では特に「サンキュー」と言う癖をつけておく

もうひとつ忘れてはいけないのが「Thank you サンキュー」です。特別なお礼という意味ではなく、何かを買った時、何かをしてもらった時は必ず言うようにしています。もう条件反射で「サンキュー」です。

例えばレストランで料理や飲み物が運ばれてきた時、フロントで部屋の鍵を受け取った時、ドアを開けてくれた時、買い物をして会計を済ませた時など、もう毎回毎回しつこいくらいに「サンキュー」って言ってみましょう。

欧米の考え方で、人が人に何か奉仕をする仕事は、神様の代わりに他の人に奉仕をしているという考え方があるようで、何かしてもらったら本当に条件反射くらいの勢いで皆さん「サンキュー」と言う習慣があるみたいです。

お金持ちの人ほど「サンキュー」を連発している気もします。ホテルやジムのお掃除のスタッフやお料理を運んできてくれた人、店員にまでとにかく「サンキュー」を連発しています。日本には「お客様は神様」という考え方がありますが、欧米では、「サービスしてくれる人が神様(代理)」なのかもしれません。

スマイルと「サンキュー」は0円です。慣れないですがその土地の習慣に従って「サンキュー」と言う癖をつけましょう。言いそびれると「何あの無愛想な人」って思われてしまうかもしれません。時にアメリカではそうしましょう。

国によって事情が違うこともあるかもしれませんので、周りのお客さんをよく観察してみて「サンキュー」と言うタイミングを計りましょう。

「グッド」もどんな場面でも重宝するフレーズ

海外で、お店に入ると「ハロー ハウ アー ユー ドゥーイング?」と毎回聞かれますよね。これは単なる挨拶だけではなく、お店に入ってきた客がどんな人間かテストしている気がします。

島国の日本とは違い、他の国と地続きで、いろいろな国のいろいろな人種が同じ地域に暮らす欧米では、ちゃんと挨拶ができるかで受け入れたい客かどうか、安全かどうか試しているのかもしれません。シャイな人が多い日本人はつい無視しがちですが、明るく笑顔で挨拶を交わしてみましょう。

私たちが学校で習った「アイム ファイン サンキュー」は今はあまり使われていないようです。アメリカ人の友人に確かめたところ「ファイン」は「まあまあだけどなんとかやっている」的なニュアンスで、ファインの代わりに「グッド」を使うことが多いそう。「アイム グッド! サンク ユー、エンジュー?」と、「あなたはどう」と聞き返してくださいね。それでやっとお客扱いされる気がします。

グッドも便利な言葉です。おいしいお料理やワインも「グッド!」、素敵な服やアクセサリーも「グッド!」、ホテルのお部屋も「グッド!」、景色も「グッド!」。

強めの「ノー」で、拒否の意思をはっきりと

断る時は「ノー サンキュー」とキッパリと、笑わないで真顔で言いましょう。笑いながらヘラヘラ「ノォ〜〜」とか言うと拒否の意思が伝わらずつけ込まれたりします(特に道端の物売りなど)。般若のお面をかぶったくらいの顔で強く「ノー!」と言いましょう。

目が笑っていたら「ノー」と言っても、もう負けです。ちょっと丁寧な断り方は「No thank you, I’m fine. ノー サンキュー アイム ファイン」。これは「今、私いい感じだからほっておいてね」という意味です。これは、物売りがしつこい時やナンパされた時にも使えますよ(笑)。

知っておくと便利!食事やショッピングのシーンで使えるフレーズ

カフェやレストランで「コーヒーのおかわりはいかが」(アメリカのダイナーなどでは、コーヒー1杯頼むとおかわりがずっと無料のことが多いですよね。日本の定食屋のお茶的な?)と聞かれた時に、「今はいらないけれど、あとで欲しくなるかも」と思うことがありますよね。

そんな時は「メイビー レイター」と言いましょう。少ししたら、またコーヒーをすすめてくれるかもしれません。これは便利な言葉で、デパートやセレクトショップの店員が「メイ アイ ヘルプ ユー?(御用はございませんか?)」と聞いてきた時にも使えます。

また、コーヒーや紅茶を頼むと「How would you like your coffee? ハウ ウジュー ライク ユア コーヒー?」などと聞かれますよね、あれはブラックでいいのか? 砂糖とミルクはどうしますか? という意味です。「Black please.」とか「Milk and sugar please.」と好みのコーヒーを答えましょう。

海外のデパートやブティックでは、店員は固定給プラス歩合制のことがあります。サイズを見つけてもらうとか手伝ってもらった場合、店員さんが「アイム メアリー」とか名乗ることがあります。それはあなたと友達になりたいわけではなく(笑)、レジで売り上げに貢献したスタッフの名前を告げるためです。その店員さんの名前を覚えてレジで名前を告げてあげましょう。

もし名前を忘れたら「サムワン ヘルプス ミー」と言えばレジの人が「メアリー?」など助け船を出してくれて思い出すこともありますし、多少記憶が怪しくても「オー イエス」とその場を乗り切ることもできます(笑)。

追加で、ちょっと上級編を。物を借りたい時、例えばホテルのフロントのチェックインでボールペンを借りたい時など、「Pen please.」でもいいのですが、「borrow バロウ」を使うといい感じです。「Can I borrow your pen? キャナ アイ バロウ ユア ペン?」と言ってみましょう。

その時だけ借りて後で返すもの、ホテルのプールタオルとか、突然の雨に降られてフロントで傘を借りる時などに使うと便利です。

地曳 いく子
スタイリスト

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