教え子の小論文を防災教材に 宮古水産高教諭「自分事にできる」

教え子がつづった小論文を手にする小笠原潤さん。「教員の誰でも活用できる教材に進化させていく」と見据える=宮古市磯鶏・宮古水産高

 東日本大震災を知らない世代に記憶を伝え、防災を考えてほしい。宮古水産高教諭の小笠原潤さん(65)は、2011~21年度の教え子の高校生が震災や復興について書いた小論文を防災教材として生かしている。「同じ地域、年頃の言葉だからこそ、伝わりやすく自分事にできる」。3日、岩手県宮古市で開かれる防災イベントで現役高校生がこの一部を朗読し、若き視点でつづられた体験と教訓を語り継ぐ。

 「妹の手を強く握って歩きました。こいつだけは守ってやんなきゃと思って」(震災当時小学6年)

 「明日やろうと思っていたことができなくなりました。当たり前だと思っていたことの大切さに気がつきました」(同中学2年)

 「どんなことをすれば多くの人が避難できるのか、それを考えるのはこれからの未来を担う私たちだと思います」(同)

 震災当時に赴任していた宮古高や、山田高など宮古地域で受け持った生徒の小論文約160編の一部だ。被災体験や伝承、これからの生き方などが600字程度でつづられている。

 3日の防災イベント「3.11語り継ぐ若き記憶」は宮古市宮町の市民交流センターで午後1時半に始まる。入場無料で、宮古高放送部2年の女子生徒4人が15編を朗読する。13年前、4歳だった4人は揺れや避難した経験はかすかに覚えている。だが「災害のおそろしさは理解していなかった」と声をそろえる。

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