長崎・鳥巣さんら 「出島組織というやり方」出版 新たな価値生むヒントに

出版した「出島組織というやり方」を手に、「変革のヒントに」と語る鳥巣さん=長崎市、出島表門橋

 長崎県長崎市で企画・コンサルティング会社を経営する鳥巣智行さん(40)らが、ビジネス書「出島組織というやり方 はみ出して、新しい価値を生む」(翔泳社)を出版した。企業や自治体などの本体組織から何かしらの形ではみ出して新しい価値を生み出す「出島組織」を紹介。20の出島組織をインタビュー取材し、その実践知を伝える「変革のヒント集」となっている。
 鳥巣さんらは2022年から全国の出島組織が長崎市に集まり、課題や知見を共有する「サミット」を開催。鳥巣さんが実行委の会長を務める。サミットはコンテナ海運会社の長崎進出に一役買うなど、新たな動きを生み出している。
 同書を出版したのは「大企業が新規事業をつくるためのものと語られがちだが、もっと自由で幅広い領域や業界でさまざまなタイプがある。現場から生まれる市民運動的な面白さがあり、それぞれの物語に触れ、ヒントを見いだしてもらえたら」との思いから。
 「外部連携」「研究所・総研」など九つのタイプごとに紹介。鳥巣さんが特に印象に残ったのは、長野県東御市で体験型施設「よき生活研究所」を出店した平田はる香さんの「出島は未来」「出島はブルーオーシャンに」という言葉だという。鳥巣さんは「未来には当たり前になっていることを先読みして、誰も競合がいない『ブルーオーシャン』に出島をつくることに商機がある」と説明する。
 長崎市の出島の歴史や価値を伝える市学芸員による紙上ガイドも掲載。鳥巣さんは「ただ過去のものと見るのではなく、歴史から変革のヒントを見つけ、現在、未来のため生かすことが大事。メッカの長崎から新しいことを生み出す人が出てきてほしい」と期待する。
 出島組織サミット実行委副会長の倉成英俊さん、同監事の中村直史さんとの共著。A5判、288ページ。1980円。問い合わせは翔泳社(電03.5362.3800)。

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