“失意の7位フィニッシュ”プジョー9X8が失格。ガス欠後のモーター走行等が違反との裁定下る

 3月2日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたWEC世界耐久選手権第1戦『カタール1812km』レースで、終盤に失速しながらも当初7位でチェッカーを受けていた93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)が、レース後に失格の裁定を受け、レース結果から除外された。

 6番グリッドから、335周または10時間で争われる開幕戦に出走したミケル・イェンセン/ニコ・ミューラー/ジャン-エリック・ベルニュ組は序盤に一時トップを走行し、その後も終盤まで2番手をキープしていた。

 しかし334周目に入ったところで突如マシンがスローダウン。明確な原因は特定されていないものの、レース後にプジョーは最後の燃料補給にトラブルがあった可能性を指摘しており、93号車はガス欠症状によりペースを維持できなくなったとみられる。

 ハイブリッドシステムを搭載するル・マン・ハイパーカー規則車両の93号車は、その後、フロントアクスルに搭載されるモーターの電気エネルギーを用いて低速でコースを走り切り、1周おくれの7位でチェッカーを受け、直後にホームストレート上にマシンを停めていた。

 レースは現地時間21時前にフィニッシュを迎えたが、それから約2時間後、スチュワードは93号車を失格とする決断を下し、日付が変わった0時03分にこの決定に関わるレポートが公開された。その後、深夜2時27分になって正式結果が公開されている。

 このスチュワードのレポートでは、「ドライバーはBoPによるERSの(最低)作動スピードを下回った後にピットに戻らなかった」こと、そして「(フィニッシュ後の)パルクフェルメに加わらなかった」という2点の事実により、スチュワードは93号車を失格とする決定を下したとされている。

 このうち、前者についてスチュワードは「この競技者は、技術規則(LMH技術規則第5.3.2条)に違反した」としている。

 この技術規則は前輪のハイブリッドシステム(モーター・ジェネレーター・ユニット=MGU)使用に関わるもので、「作動速度はBoPにより定義される」「(作動時に)もし120km/を下回っている場合、ピットに戻るまで120km/以下を維持しなければならない」と記された条文だ。

 今回のレースのBoPで、プジョー9X8の前輪MGUの作動速度は150km/h(以上)とされていた。

「この競技者は順位認定されることを望みこの技術規則に従わなかったが、93号車はストレート上で決定的に止まってしまう前に(フィニッシュ)ラインを超えることができたものの、パルクフェルメへと戻ることができなかった」とスチュワードのレポートでは説明されている。

「ただし、この競技者は、関連規則に関して犯した違反の利益を得ることはできない。したがって、スポーティング規則に関連して考慮した結果、スチュワードは93号車が(フィニッシュ)ラインを通過したという事実は認められないと判断した」

「さらに93号車は、スポーティング規則第15.1.1条と15.1.3条に記載されている条件下で、パルクフェルメへと戻ることができなかった」

「この結果、スチュワードは、これらふたつの動機を合わせて、93号車に失格処分を科すことを決定した」

 スポーティング規則の第15.1.1には、「レース終了の合図を受けたあと、すべての車両は停止したり、(マーシャルを除き)外部からの助けを受けることなく、パルクフェルメに直接向かわなければならない」と記されている。

 また、同15.1.3条には「すぐに、あるいは直接、パルクフェルメに向かわない車両は、スチュワードによって順位認定から除外されることがある」とある。

 プジョーはFIA国際競技規則第15条およびFIA司法・懲戒規則第4章に従い、適用される期限内に、スチュワードの決定に対して異議を申し立てる権利を有している。

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