アメリカ軍、ガザ地区への援助物資投下を開始  6週間の停戦に合意か

アメリカは2日、パレスチナ自治区ガザ地区への援助物資投下を開始した。ヨルダン軍との合同作戦で、軍機3機が4万食近くをパラシュートで落下させた。他方、バイデン米政権の関係者は同日、一部の人質解放を条件にした6週間の停戦にイスラエルが「おおむね」合意したと記者団に述べた。

アメリカのジョー・バイデン大統領は1日、援助物資を投下すると明らかにしていた。

アメリカ政府高官は、昨年10月7日からガザ地区で続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦いを、6週間にわたり停戦させるための合意枠組みができあがったとも記者団に話している。

アメリカ中央軍司令本部は2日、C130輸送機がガザ地区沿岸部に3万8000食以上を投下したと発表した。

「この物資投下は、ガザ地区に入る援助物資を増やすための持続的な努力の一環だ。援助物資を増やすため、陸上の回廊やルートから入る物資の流れを拡大する取り組みも行われている」と、司令本部は説明した。

ガザへの援助物資をめぐっては、2月29日にガザ市南西部で物資を運ぶトラックの周りに大勢が集まり、イスラエル軍との間に混乱が生じ、少なくとも112人が死亡している。

バイデン米政権の関係者は、この「悲劇的な出来事」によって「深刻な人道状況に対応し、ガザへの人道援助の流れを拡大・維持する重要性」が強調されたと述べている。

ハマスはイスラエルが民間人に発砲したと非難している。イスラエル軍は、ほとんどの人は、軍が空中に威嚇射撃した後、お互いを押し合い、踏み合うなどしたため死亡したのだと説明している。

しかし支援団体は、空からの物資投下は援助提供の方法としては効率が悪いと指摘している。

家を失ったガザ住民のメドハト・タヘルさんはロイター通信に、あまりに不十分だと話した。

「学校にとって足りるのか。1万人にとって足りるのか。パラシュートを使って投下するより、検問所を通して援助物資を入れる方がいい」と、タヘルさんは述べた。

バイデン大統領は1日に記者団に対して、「もっともっと多くの人に、必要な支援が届くよう、さらに多くのトラックやルートが入るための便宜を図るよう、イスラエルに強く働きかける」と話していた。

6週間停戦に「おおむね」合意か

他方、匿名のバイデン政権関係者は2日、イスラエルが新しい停戦の条件を「おおむね受け入れた」と話した。

「ハマスが、指定されたグループの人質解放に合意すれば、今日からガザで6週間の停戦が始まる。指定グループとは、傷病者と高齢者と女性だ」と、この米政府関係者は話した。

ホワイトハウス関係者によると、カマラ・ハリス米副大統領は4日にワシントンで、イスラエル戦時内閣に参加しているベニー・ガンツ前国防相と会談し、休戦などについて協議するという。ロイター通信が伝えた。

国連の世界食糧計画は、しばらくほとんど援助物資が届いていないガザ北部では飢饉(ききん)が迫っていると警告。ガザ北部では推定30万人が、食べ物や清潔な水がほとんどない状態で暮らしているという。

ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を奇襲し、約1200人を殺害し253人を拉致した。これに対してイスラエルはガザ地区への軍事作戦を開始。ハマス運営のガザ保健省は2月29日、ガザ地区の死者が3万人を超えたと発表した。

(英語記事 Israel-Gaza war: US carries out first aid airdrop in strip

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