インナージャーニー、小泉今日子出演の映画『とりつくしま』に主題歌「陽だまりの夢」書き下ろし

インナージャーニーが、今夏公開予定の映画『とりつくしま』に主題歌「陽だまりの夢」を書き下ろし提供した。

同映画は、『カメラを止めるな!』などを世に送り出してきたENBUゼミナール シネマプロジェクトの第11弾作品。「死んでしまったあと、モノになって大切な人の近くにいられるとしたら……。あなたは何になりますか?」というテーマを通じ、様々な人間模様を描く。東直子の同名小説を原作に、実の娘である東かほりが脚本/監督を務め、原作ファンでもある小泉今日子も出演する。

主題歌「陽だまりの夢」は、東かほりとカモシタサラ(Vo/Gt)が打ち合わせを重ねながら、映画に寄り添うようなアレンジが進められた。インナージャーニーとしては初めてヴァイオリンをフィーチャーした楽曲で、カモシタサラ、本多秀(Gt)、とものしん(Ba)、サポートドラムのフカイショウタロウ、そしてヴァイオリニスト 越川歩の5人によるアンサンブルも聴きどころの1つだという。

また、同映画は本公開に先駆けて、2024年3月30日より新宿K’s cinemaにてイベント上映されることが決定している。

<コメント>

・カモシタサラ

死んだらどこにいくのかな、とずっと昔から考えていました。
今までの感情や記憶は無かったことになって忘れ去られてしまうのか、
残されたほうはもっと一緒にいればよかった、という後悔のようなものが押し寄せるかもしれない。
けれど“とりつくしま”は、こちら側とあちら側の架け橋となり、かたちを変えて大切な人のそばにいたり、
最後のお別れをするためにあるように感じて、少し気持ちを楽にさせてくれました。
昔からずっと感じていた死に対するぼんやりとした不安も、この映画が助けてくれたように思います。
そんな解釈を通して、温かくてやわらかい気持ちで幕を閉じられるようにと今回主題歌を書き下ろしさせていただきました。
自分の感情のとても近い部分にある映画に携わることができて嬉しいです。
どうかたくさんの人に届きますように。

・東かほり監督

子供の頃、モノにぶつかったら10秒数を数えなくてはいけなというルールを自分でつくっていました。
ゴミ箱や、文房具にも言葉をかけてみたり、なんとなく見守られているような気持ちがありました。
亡くなったあと、モノにとりつくということは、非現実のようで日常にあるあたりまえのことなのかもしれません。
母がこの小説を書いていた頃、わたしは長すぎる反抗期中で、会話をすることを避けていました。この「とりつくしま」を読むと、
その頃の母と会話しているような気持ちになります。
撮影前、印刷された脚本を母に渡すと、こんな日がくるなんて、と言いながら脚本を抱きしめていました。
その姿がこころに残っています。
だれかの大切な人や、わすれられない記憶に寄り添うような作品になれていたらうれしいです。
たくさんの方に観ていただけますように。

・東直子

「とりつくしま」って「とりつくしまがない」という一文でしか使わない不思議な言葉だと思っていました。
なぜ「とりつくしまがある」と言わないのだろう。亡くなった人がとりつく物が「とりつくしま」だとしたら?
と、あるとき想像しました。
自分で希望した愛着のある物から見える世界は、愛情を感じている人のそばにあるのだと書いているうちに気づきました。
結果的に生きることを見つめ直す物語になった気がします。長い時間をかけて多くの方に愛されたこの物語が、
私が産み、育てた娘、東かほりを通して映画化されることになりました。この上なく幸せです。
このプロジェクトのワークショップに少し顔を出させていただき、参加した役者さんたちの「とりつくしま」をお聞きする機会がありました。
それぞれユニークであたたかい、素敵な「とりつくしま」ばかりで感激しました。
此岸彼岸を超えて、たくさんの魂が往還する映画ができるのだな、と胸を熱くしています。

・小泉今日子

若い人たちの才能、新しい人たちの才能を育てる。
その門を開いているENBUゼミナールには以前から興味があり、ENBUシネマプロジェクト第11弾、東かほり監督「とりつくしま」に参加させて頂きました。
原作者の東直子さんとは以前に対談をさせて頂いたこともあり、小説を読んでいました。まさかあの役を私が演じることができるなんて!
しかも、小説が伝えたいものを心から理解しているであろう東かほりさんが監督だなんて!参加するしか選択肢はありませんでした。
私以外のキャストの多くはオーディションで選ばれた俳優が演じています。
撮影現場では、それぞれの役にぴったりな雰囲気、声、容姿で「その役」である時間を噛み締めるように「その役」として生きている姿が印象的でした。
すごく当たり前のことのようだけど、とても素敵なことだと思います。
このピュアな映画を応援してください。私も応援します。

(文=リアルサウンド編集部)

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