こぎん刺し×ウエディング 母から娘へリメークドレス 佐藤秀子さん(青森・弘前市)ら制作

肩口のケープと後ろのリボンにこぎん刺しが施されたウエディングドレス「マリアージュ」
「マリアージュ」を制作した佐藤さん(右)、武智さん(左から2人目)、阿保さん(左)

 自分が着たウエディングドレスをいつか娘に-。そんな親心に花を添えるような、こぎん刺しを施したリメークウエディングドレス「Mariage(マリアージュ)」が誕生した。考案したのは青森県弘前市のセレクトショップ「A.select(エーセレクト)」代表でこぎん刺しのプロデュースも手がける佐藤秀子さんと、神戸市のブライダル業「Roulottes(ルーロット)」代表の武智弘美さん。津軽の伝統工芸と融合したドレスの完成披露イベントが3日、弘前市の弘前れんが倉庫美術館で開かれた。

 佐藤さんは、ファッションアイテムとしてのこぎん刺しの魅力発信にも注力。2016年には宝石のように輝くスタイルのこぎん刺し「Kogin de Jewel(ジュエル)」をプロデュースした。

 今回制作したドレスは、同スタイルのスペシャリスト養成講座を修了した阿保愛美さんが刺しゅうを担当。刺しゅうにはフランス刺しゅうのラメ糸と白い綿糸を使い、子孫繁栄のシンボルとされる「ふくべ」や繁栄・長寿が続くことを意味する「紗綾(さや)形」など、縁起の良い模様をちりばめた。

 佐藤さんと武智さんが出会うきっかけとなったのは、2人が昨年参加した県の「青森×神戸・事業共創ワークショップ&企業交流会」。「こぎん刺しでウエディングドレスを作りたい」と考えていた佐藤さんと、ドレスのリメークを手がけながら、こぎん刺しにも興味を持っていた武智さんはすぐに意気投合し、ドレス作りを始めた。

 3日に開かれたイベントで武智さんは「自分がドレスのリメークに携わっている分、補修のために生まれたこぎん刺しの美しい技術は本当に素晴らしいと思っていた」と強調。阿保さんはサテン生地を使ったこぎん刺しの難しさに触れつつ、「約1カ月、一日も針を置くことなく楽しく作業を進められた。2人の夢をかなえる手伝いができてうれしい」と振り返った。

 いつか自分のドレスを娘に-という思いから今回のプロジェクトに至った佐藤さん。マリアージュの今後の展開については「リメークにこだわってオーダーの受注を検討したい。母親の思いをこぎん刺しの模様に込め、母と娘の絆を深めることができたら」と語る。

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