『怪物』で撮影賞の近藤龍人「どうお客さんに正確に伝えるか」

関西の映画ファンが集う『おおさかシネマフェスティバル』授賞式が3月3日、ホテル「エルセラーン大阪」(大阪市北区)でおこなわれ、是枝裕和監督の映画『怪物』を撮ったカメラマン・近藤龍人が撮影賞を受賞した。

『おおさかシネマフェスティバル 2024』で浜村淳と話をする近藤龍人(3月3日・大阪市内)

近藤は大阪芸術大学在学中に、先輩である熊切和嘉監督の卒業制作『鬼畜大宴会』に参加。作品に寄り添う妙妙たるカメラワークは業界内で高く評価され、横浜聡子監督『ウルトラミラクルラブストーリー』、三木孝浩監督『ソラニン』、吉田大八監督『桐島、部活やめるってよ』、呉美保監督『そこのみにて光輝く』、石川慶監督『ある男』、是枝裕和監督『万引き家族』といった近年の名作でもその名を見ることができる。今、映画界にとっては無くてはならない名カメラマンだ。

同映画祭では、2008年『天然コケッコー』、2015年『そこのみにて光輝く』『私の男』に続く3度目の受賞となった。MCをつとめた浜村淳から「撮影するにあたって、どういうところに苦心しますか?」と聞かれると、近藤は「現場で起こっていることを、どうお客さんに正確に伝えるかを考えています」と答えていた。

映画『怪物』の脚本は坂元裕二、音楽は故・坂本龍一というトップクリエイターが名を連ね、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子といった実力派俳優が出演。また、『第76回カンヌ国際映画祭』にてLGBTやクィアを扱った映画を対象とした「クィア・パルム賞」を日本映画としては初めて受賞した。

同作で撮影賞を受賞したことについて、近藤は「エンドロールに流れているすべてのスタッフの思いが詰まってないと撮影ってうまくいかないし、それを代表してこの賞をいただけて、みなさんに伝わっていると感じてうれしいです」と感謝を伝えた。

『おおさかシネマフェスティバル 2024』で浜村淳と話をする柊木陽太、『怪物』で共演した黒川想矢(左)(3月3日・大阪市内)

『怪物』で安藤サクラ演じる主人公の息子・湊役を演じた黒川想矢と、その親友・依里役を演じた柊木陽太も、同フェスティバルでそろって新人男優賞を獲得した。

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