【インド】印最大級の結婚前パーティーにパン3千個納入[食品]

結婚前パーティーに納入するあんパンを焼く、Irohaの製造責任者、大森栄氏=インド西部グジャラート州ジャムナガル(Iroha提供)

従業員約20人の日系パン・スイーツ販売店「Iroha(いろは)」(インド北部ハリヤナ州グルガオン)が、インド最大級の結婚前パーティーでパンを毎日納入している。パーティーはインドの財閥リライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバニ会長の次男(第3子)夫妻を祝うもの。パンは西部グジャラート州の会場で連日製造し、前夜祭と後夜祭を含めた5日間の納入数は約3,000個に上る見通しだ。

Iroha運営会社の柳邦明社長によると、2月上旬、北部デリーのケータリング業者から要望があり、パンのサンプルを送った。同じ業者から2月21日、連絡が再びあり、そこで初めて、今回のパーティーを支援するエージェントだと明かされ、パンをパーティーで納入してほしいと頼まれた。

要請に応じた場合、従業員をグジャラート州ジャムナガルの会場に派遣し、店を約1週間閉めたり、受け付け済み注文を断ったりする必要がある。それでも、柳社長は「一世一代のチャンス。招待客にIrohaを知ってもらえる」と思い、納入を決断した。製造責任者の大森栄氏ら約10人が27日に会場入り。小麦粉約450キロや砂糖約300キロ、バター約150キロ、卵約1,100個など、原材料はグルガオンの店から冷蔵トラック1台で運んだ。道のりは東京から熊本に相当する約1,200キロあり、約26時間かかった。

納入しているパンは、クロワッサンやあんパン、メロンパン、ミルクボールなど5種類。29日にはアンバニ家の料理人が会場のIrohaキッチンを訪れ、特にクロワッサンとあんパンを高く評価。5種類約20個ずつの特別注文を受けた。アンバニ会長一家に届けたとみられる。

会場で社名やブランド名を出すことは禁止され、パンを食べた招待客は誰かに尋ねないとIrohaの名前は分からない。ただ、柳社長は「一口食べただけで、普通のパンと違うことが分かる。ファンが広がるきっかけになれば」と期待を寄せた。

地元メディアによると、パーティーは3月1日~3日に開かれ、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)ら多くの経済人が参列。次男夫妻は7月に結婚する予定だ。

Irohaは2011年10月にオープンし、店舗数はグルガオンの1店のみ。在インド日本人を中心に人気を博している。

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