発生10年、もう二度と 小矢部川SAバス死亡事故

献花台で手を合わせる男性=小矢部市の北陸自動車道小矢部川SA

  ●献花台「パパへ」「心から感謝」 

 2014年3月、小矢部市の北陸自動車道上り線小矢部川サービスエリア(SA)で運転手と乗客の2人が死亡、26人が重軽傷を負った夜行バス事故は3日、発生から10年を迎えた。SA内の献花台には「パパへ」などと記した犠牲者の遺族からとみられるカードを添えた花が手向けられた。関係者は二度と悲劇が起こらないよう思いを新たにした。

 事故は14年3月3日午前5時10分に発生。仙台発加賀温泉行き夜行バスが駐車中のトラックと衝突し、宮城交通(仙台市)の小幡和也運転手=当時(37)=と乗客の金沢高教諭小野善広さん=同(48)=が死亡した。

 中日本高速道路金沢支社が2月下旬、SAのガソリンスタンドに献花台を設置して以降、宮城交通の青沼正喜社長ら幹部が花を供えた。富山県警の警察官5人が遺族から預かった花束を届けた。

 3日も献花台を訪れる人が見られ、小野さんの教え子の母も「心から感謝しております」との一言を添えた花を手向けた。愛知県犬山市のトラック運転手(32)は「ひとごとではなく、日ごろから安全運転を心がけ、事故がないようにしたい」と話した。

  ●宮城でも献花

 死亡した小幡運転手が所属していた仙台南営業所(宮城県名取市)では、事故発生時刻に合わせて青沼社長らが献花した。

 宮城交通は昨年4月、バス運転士の安全教育などを行う研修センターを開設した。同社は「あらためて被害者と家族に心よりおわび申し上げる。事故から10年が経過したが、決して風化させることなく安全対策を確実に実施する」(社長室)とのコメントを出した。

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