【震災13年 福島空港台湾便】安定路線へもう一歩(3月4日)

 福島空港と台湾を結ぶ国際線の定期便化が先送りされ、3月末から10月までの夏ダイヤは現状の定期チャーター便での運航を継続する。搭乗率の維持拡大に向け、さらに利用促進策を推進すべきだ。

 定期チャーター便は1月16日に就航し、週2往復している。2月16日までの1カ月間、計20便の利用者は延べ約3200人に上り、搭乗率は約9割に達している。路線は県と台湾の格安航空会社(LCC)タイガーエア台湾、現地の旅行会社グロリアツアーの3者が覚書を交わし、現在は旅行会社のツアー申込者を乗せている。

 夏ダイヤからは、ツアー客の利用分を除いた座席の購入が一般でも可能となる。空席となった分は個人旅行客、ビジネス客にも販売される。この席をいかに埋め、搭乗率100%に近づけることが新たな課題となってくるだろう。

 台湾からのツアーは活況を呈している。会津若松市の鶴ケ城や下郷町の大内宿などは台湾からのツアー客が大勢詰めかけている。積雪は少ないものの、雪景色や雪に関するイベントは魅力度の高い観光資源となっているようだ。今後は食や酒、おもてなしといった本県の特徴を広める工夫が求められる。

 福島側からの訪問は、観光ツアーに加えて、業界、団体の現地でのPR、セールスが目立っている。JA会津よつばは、原喜代志組合長らが会津のおいしい米や日本酒を売り込んだ。人だけでなく、人気が出そうな物産品の販路拡大による交流の拡大は路線定着の土台となる。さらに取り組みを強化してほしい。

 就航前に懸念された台湾観光の客足も今のところはまずまずという。福島民報社と福島テレビが1、2の両日に実施した県民世論調査では、「利用したい」「どちらかと言えば利用したい」の合計が54.5%となっている。利用希望をどう行動に結び付けていくか。今後増える個人客のためにも多彩な旅行商品をそろえる必要があるだろう。

 他県の台湾便をみると、定期便化には早くても2、3年を要するのが通例という。就航してまだ1カ月余。継続的に手を打つことが最も重要だ。その先に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から途絶えている定期便化が見えてくる。(安斎康史)

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