核ごみ反対、実績アピール 3選の比田勝さん「豊かな島に」 長崎・対馬市長選 

3選を果たし、親族から笑顔で花束を受け取る比田勝さん(右)=3日午後9時44分、対馬市厳原町

 3日投開票された長崎県対馬市長選は、現職の比田勝尚喜さん(69)が新人で飲食店経営の荒巻靖彦さん(59)を破り、3選を果たした。争点となった原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場誘致では「反対」を掲げ、2期8年の実績をアピール。手堅く勝利をつかんだ。
 昨年、島を二分する議論となった最終処分場誘致問題では、市議会が選定調査の促進請願を採択。全国で3カ所目の調査実施自治体となるか全国から注目される中、「市民の合意形成が不十分」として調査を受け入れない決定を下した。
 「対馬の将来を担う子どもたちに苦しみを背負わせたくない」。決断を支持する市民の声も3期目への挑戦を後押しした。「核のごみよりも海ごみの有効活用を」と、対馬沿岸で深刻な漂着ごみ問題対策などを通した地域振興を強調。水産業と観光業などを合わせた「海業」推進も掲げた。
 若者の島外流出や人口減少に歯止めがかからず、韓国人観光客に頼りがちな観光業には不安定さも指摘される。「この島に生まれてよかったと思われる、豊かな島にしたい」と比田勝さん。選挙速報を見守る会場に姿を見せると、ねぎらいの言葉をかける支援者たちと、次々と固い握手を交わした。

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