【震災・原発事故13年】福島県民世論調査 東日本大震災と原発事故の教訓や記憶「風化」77.6% 正確な情報発信必要

 福島民報社は福島テレビと共同で福島県民世論調査(第44回)を実施した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で丸13年となる中、教訓や記憶が「風化している」「どちらかと言えば風化している」と回答したのは77.6%に上った。理由として震災と原発事故の話題が減り、国の復興支援が停滞していると感じる割合が高い。国内外への正確な情報発信が必要とする声が多く、国による復興施策のさらなる強化が求められる。

 風化を感じているかどうかを聞いた結果は【グラフ①】の通り。「風化している」が39.6%、「どちらかと言えば風化している」が38.0%だった。幅広い年代で「風化している」「どちらかと言えば風化している」の回答が過半数となった。

 「どちらかと言えば風化していない」「風化していない」が計16.4%だった。

 風化していると回答した人が、どのような場面でそう感じるかを聞いた結果は【グラフ②】の通り。「震災と原発事故に関する話題が減った」が27.8%、「国の復興支援の取り組みが減退している」が22.3%、「県外の人に福島県の現状が理解されていない」が20.8%で続いた。

 風化していないと感じる理由は「震災と原発事故に関する話題が減っていない」が31.0%、次いで「多くの避難者がいる事実が忘れられていない」が15.5%だった。

 対策として必要な点を聞いた結果は【グラフ③】の通り。「科学的な根拠に基づいた国内外への正確な情報発信」が36.7%で最も多かった。「『常磐もの』やブランド農産物など県産品の魅力発信」が19.6%、「新産業集積を目指す福島県の現状の発信」が15.2%で続いた。

 県内では帰還困難区域がある6町村に設定された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が昨年、全て解除されるなど復興は次のステージに移っている。一方、農業算出額や浜通りなどの製造品出荷額は原発事故発生前の水準に回復していない。国の手厚い支援がある「第2期復興・創生期間」の終了が2025(令和7)年度に迫る中、県民が国による情報発信の不足や復興施策の停滞に危機感を抱いていることが浮き彫りとなった。

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