60代記者、話題のアレに乗るため宇都宮へ輪行旅 お土産はもちろんギョーザです

宇都宮市内を走るLRT。静かな乗り心地で揺れもほとんど気にならない

 自転車旅の楽しみ方の一つに「輪行」がある。折り畳んだり分解したりして専用のバッグに入れ、公共交通機関を利用して移動する。往路か復路で利用すれば行動半径は倍に広がる。目的地で小回りが利く移動手段として使ってもいい。昨年、栃木県宇都宮市に開業した次世代型路面電車(LRT、ライト・レール・トランジット)と小径自転車の旅を楽しんだ。

 群馬県大泉町の自宅から東武鉄道とJRを乗り継いで宇都宮へ。LRTはJR宇都宮駅の東口にターミナル駅があり、隣の芳賀町の芳賀・高根沢工業団地駅までの14.6キロを結ぶ。駅は全部で19、各駅停車での所要時間は44分。JRの改札から乗り場まではデッキでつながっている。

 黄色と黒を基調とした3両編成の車両は角がない丸みを帯びた優しいデザイン。定員は160人で座席は50。窓は大きく、車いすやベビーカーでもゆったり乗れ、ホームとの段差もほとんどないユニバーサルデザインだ。

 動力は地産地消。市内のごみ処理施設で行うバイオマス発電や市民の太陽光発電を買い取った再生可能エネルギーを使っている。

 運転間隔はピーク時が6分間隔で、それ以外は約10分間隔。平日の午前中とあって混雑はなく、先頭車両の運転席のすぐ後ろで撮影しながら運転の様子や車窓からの風景を楽しんだ。乗り心地は静かで揺れもほとんど気にならなかった。

 目に留まったのは交差点での信号。車用が緑の矢印(右折、左折、直進それぞれに出る)で、LRT用はその隣にある「電車用」と書かれたボードの横でオレンジ色の矢印が出る。車との共存がバランス良く行われていくことを願っている。

 宇都宮市内を抜けると、道路から離れて専用の線路を走る部分が多くなる。撮影ポイントとなる高架やカーブ、橋の近くでは、カメラを構える鉄道ファンの姿をよく見かけた。

 終点の芳賀・高根沢工業団地駅までの運賃は大人が400円。その名の通り工業団地の真ん中にある駅で、最後の幾つかの区間は自動車メーカーなどがある工業団地の中の路面を走った。

 終点で写真を撮っていた男性に話を聞いた。自動車メーカーのOBで「このLRTができたというので、東京からきました。楽しかったですね。久しぶりなので少しこの辺を歩いて帰ります」と懐かしそうだった。

 復路は自転車と決めていたため、自転車を組み立て、車窓から見つけておいた撮影ポイントを巡った。時にはLRTと並走しながら約20キロを走って宇都宮市内に戻った。

 お土産はもちろん宇都宮餃子。帰路は東武日光駅から板倉東洋大前駅(板倉町)まで再び輪行。そこからは宵闇に浮かぶ富士山の姿などを楽しみながら自宅までの約30キロを走って帰った。

往路は輪行、復路は小回りの利く自転車でLRTと旅を楽しんできた

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