昨年度から新たな盲導犬を迎えたユーザーたちが、広島市で行われた出発式に参加しました。新たなパートナーとの門出にユーザーたちは喜びや夢を語りました。
出発式の参加者、島根県に住む三輪利春(72)さんです。
盲導犬との歩行では、頭の中に「地図」をイメージして歩きます。慣れない広島の地ということで、到着早々道に迷ってしまいましたが、近くを通りかかった人に案内してもらって会場までやってきました。
三輪さんの5頭目の盲導犬=ラブラドールレトリーバーの「グラン」くんです。2年前の10月から一緒にいますが、門出を祝う「出発式」に参加するため、松江市からバスでおよそ3時間かけて広島市にやってきました。
三輪さんは、36歳の時、交通事故に遭ったことがきっかけで30年以上、盲導犬と生活しています。グランとは、訓練士の指導のもと、2週間ともに生活する「共同訓練」を経てパートナーになりました。
三輪利春さん
「とても元気な明るい子で、人が大好きでそれもまた困ることもあるんですけど、一緒にパートナーとして歩んでいける友だちのように思っている」
盲導犬の役割はユーザーに、曲がり角や障害物、段差の場所などを教えること。段差の前ではピタッと止まります。
普段歩いている地元の街より人や車も、カメラも多くかなり緊張している様子。ユーザーは、盲導犬が伝える情報から進むべき道を決めるため、お互いのコミュニケーションが重要です。
三輪利春さん
「私が思っていることを理解してくれる、あるいは犬が思っていることを理解するとか、そういった感じで『何かを教えているんだな』とか、そういった感じで頭を触って感じています」
式には、昨年度から新たにユーザーとなった3組のユニットが参加しました。グランもリラックスしておとなしく座っていました。出発式には、普段行き慣れていない場所にペアの力だけで行くという目的があります。
三輪さんは、盲導犬と一緒に歩くと、「季節」や「風」を感じながら歩くことができるといいます。
三輪利春さん
「自分も精神的に悩んでいた時代もありましたけど、そういった悩みがなくなって盲導犬と一緒に外に出ようという気持ちが出てきました。一緒に出て街を歩くというのが今の一番の趣味」
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田村友里アナウンサー
「来月、改正『障害者差別解消法』が施行され、事業者が障害のある人に対する『合理的な配慮』が義務化されます。
例えば飲食店で、
▼メニューの読み上げ
▼筆談をする
といったことを依頼された場合『明らかに無理な状況』でない限り、対応することが義務になるということです。
義務化ではありますが、障害のある人たちが堂々と配慮などをお願いができて、お店などの事業者も気持ちよく配慮ができるよう、お互いに考えていきたいですね」