被災者への資金支援、前岩手県立大・桑田教授(立命館大)に聞く

「支援の増額に伴い、災害弔慰金も引き上げるべきだ」と述べる桑田但馬教授=盛岡市

 政府は、能登半島地震で住宅が被災した高齢者世帯などに従来の2倍となる最大600万円を支給する方針だ。全国で災害が頻発する中、被災者への資金支援はどうあるべきか。前岩手県立大教授で立命館大の桑田但馬教授(財政学)に聞いた。

 (聞き手は報道部・和合真也)

 ―住宅が全半壊した場合などに最大300万円を支給する被災者生活再建支援金は、東日本大震災や熊本地震などでも国に増額を求める声が上がった。

 「支援金の性格は『見舞金』から『個人への補償』にシフトしている。建設コストが年々上昇する中で、制度の枠外ではあるが、増額したことは評価できる。政府は今回の追加支援を特例とするが、今後発生した災害にも同様の支援が必要だ」

 ―被災者の生活再建は支援金の増額だけで十分か。

 「(生計維持者が死亡した場合に500万円を支払う)災害弔慰金も実質、残された遺族への生活補償という意味合いが強い。500万円という金額は、それほど低くないという印象を抱くかもしれないが、1991年から金額が変わっていない。30年以上がたち、物価や社会保険料、教育費などさまざまなコストが上がり、可処分所得が少なくなっている。支援金が結果的に増額するのであれば、引き上げるべきだ」

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