「とても助かる」木を切ることが持続可能な農業に 高齢化進む農家の助け「カットバック処理」とは【SDGs】

静岡県伊豆半島東部の特産・柑橘類「ヒュウガナツ」は、年が経つと大きく成長することが農家の悩みとなっています。

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高齢化の進む伊豆で持続可能な農業を実現するため「カットバック」という技術が導入されています。文字通り木を切る取り組みですが、いったいどんな効果が?

<柴田寛人記者>
「伊豆オレンヂセンターです。ヒュウガナツの加工品が、たくさん並んでいます」

「ニューサマーオレンジ」という名前で親しまれている伊豆半島東部の柑橘「ヒュウガナツ」。4月から5月に収穫の最盛期を迎え、ゼリーやジャム、ドレッシングなどの加工品は1年を通して販売されています。

長年、特産品として地域に貢献してきましたが、栽培する農家は悩みを抱えています。

<柴田寛人記者>
「こちらの巨木、一番高いところだと、果実は何mぐらいの高さにありますか?」

<JA職員>
「約5mほどだと思いますね」

成長を続けたヒュウガナツは樹齢が40年以上になると木の高さが5mを超えることも。収穫に携わる農家は木に登る作業が必要に。負担と危険が伴います。

<JAふじ伊豆・東伊豆営農経済センター 鈴木悠介さん>
「脚立を立てて、上で作業をすると、どうしても不安定になって、脚立から落ちてケガをするという事故もありますので」

そこで導入された技術が「カットバック処理」と呼ばれる方法です。

カットバック処理では、まず、巨木を根元から50cmほど残して切り落とします。ヒュウガナツは生命力が強いため、1か月後には新しい枝が切り口から伸び始め、2年後には再び果実の収穫が可能になるということです。

<『カットバック処理』講習会の参加者>
「自分でもやってるんだけどね。やってるんですけど、講習会で確認したことはなかったんで。ちょっと確認したくて、きょう参加した」

<JAふじ伊豆・東伊豆営農経済センター 鈴木悠介さん>
「高齢者がどうしても多くなってきてますので、体力的に厳しい作業ですので、カットバック処理があって、低いところで、手が届く範囲で収穫ができるのは、とても助かることだと思っています」

「カットバック処理」した木は、枝の剪定を続ければ、2m程度の高さを維持できるということです。

<伊豆農業研究センター上席研究員 浜部直哉さん>
「現状ではヒュウガナツのみ、先行して研究を行っていますけど、甘夏と青島温州、それからダイダイ、この3品種についても、現状、取り掛かりつつあるという形になっています」

陸の豊かさを守り持続可能な農業を。カットバック技術の広がりが農家の手助けになることが期待されます。

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