野球が好きなタイの子どもたちを応援しようと、福島県会津美里町できんつば店を営む元高千穂大教授の佐藤孝一さん(73)と両沼野球協会事務局長を務める会津坂下町の本田幸一さん(75)は今月、タイを訪れて少年野球チームに野球用具を贈る。「米国から野球を学び、世界一にまで上り詰めた日本だからこそ力になれることがある」(佐藤さん)との思いを胸に、タイでの野球の普及を夢見て渡航する。
佐藤さんは大学教授をしていた2018(平成30)年、海外ボランティア研究のゼミ生とタイを訪れ、少年野球チームのバンコクサンダースと交流。チーム創設者でタイ野球連盟アドバイザーを務める日本人の青山功さん(56)と親しくなった。ゼミ生のほとんどが野球経験者で、使わなくなったグラブを子どもたちにプレゼントしたところ、大いに喜ばれた。
青山さんによると、タイでは近年、野球人気が高まり、日本が優勝した昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は大きく報じられた。しかし、国内に野球用具を販売する店はなく、海外から寄贈などに頼らざるを得ないという。
佐藤さんは知人の本田さんとともに支援を思い立ち、グラブや手入れ用オイル、バッティンググローブ、リストバンド、キャッチャー用プロテクターを購入。賛同した本田さんの知人や地元のスポーツ用品店からは、練習で活用できるテニスボールとヘルメットを譲り受けた。2人は16、17の両日、バンコクサンダースが練習するグラウンドを訪れて寄贈する予定だ。
佐藤さんは「野球を通じて会津とタイの交流が深まるきっかけになればうれしい」、本田さんは「日本野球の精神を伝えたい」と思いを語る。青山さんは「以前からのつながりが続き、手助けしてもらえるのは非常にありがたい」と感謝している。