ママの「すみません」を0に…のんびりできる古民家カフェや一時託児施設、川越の「結家」 宿泊予約を開始

ママに優しい空間を目指す大室愛さん=埼玉県川越市石原町の結家

 埼玉県川越市石原町の築130年以上の古民家・旧恵比寿屋を活用した母子向けの一時託児施設「結家」で、1棟貸しの予約が始まった。古民家ならではの落ち着いた風情を楽しみつつ、小さな子ども連れでも安心して、ゆっくり泊まることができるのが魅力だ。コンセプトは「ママの『すみません』が0の場所」。オーナーの大室愛さん(41)は自身の経験を踏まえ、「ママを手助けし、観光面で地域の助けにもなれたら」と話している。

 埼玉を代表する観光地として知られる小江戸・川越だが、子連れでの観光は苦労が多いという。大室さんは「川越は古い建物が残っていることが魅力的な半面、ベビーカーが使えなかったり、おむつ替えや授乳に使えるスペースが少なく、ママには大変な部分もある」と話す。

 「結家」は昨年11月にオープン。1階に飲食できるカフェ、2階にレンタルサロンを併設し、建物の奥を宿として提供している。カフェは、片手でも食べやすいおむすびと、発酵食品を中心とした健康志向のメニューがこだわり。安心して子どもと一緒に食事できるスペースを目指した。レンタルサロンは場所貸しのほか、ヨガ講師や整体師などを招いた出張教室も開いている。

 1棟貸しは、旅先でも人目を気にせず、ゆっくり休める空間を提供しようと企画。1、2階に1部屋ずつ、ミニキッチン、広めの浴室とトイレを共有し、最大2家族7人が同時に宿泊できる。

 出産をきっかけに仕事を辞めた大室さんは、家庭や子どもとつながる仕事がしたいと決意。旧恵比寿屋の活用募集をきっかけに、古民家で何ができるか考え、「ママの『すみません』が0の場所」をコンセプトとする一時託児施設を開業した。

 自身も2歳の子どもを育てる母親である大室さんは子どもを連れて外出する際、常に周りの目を気にしてきたという。「ベビーカーを押して狭い道を通ったり、荷物が多いので電車やバスで移動する際も迷惑をかけてしまう。泣き声も気にするし、ママであることが申し訳ない」。そんな母親たちに、気兼ねなく骨休めしてほしいという願いを込め、「ママになると、自分の時間はなかなか取れない。少しでもママの助けになるとともに、観光の面からも地域の助けになれたら」と話す。

 現在は保護者が店内にいる場合のみ託児を受け付けているが、今春をめどに許可を取り、保護者が外出しても問題ない一時預かり専門託児の立ち上げを予定している。

 「結家」の営業時間は午前11時~午後5時半まで。日曜定休。サロンの予定や問い合わせ、宿泊の予約はホームページ(https://www.musubiya.site/)から。

© 株式会社埼玉新聞社