脱炭素カップで最高位賞 長崎・壱岐市の再エネ水素システム 2022年度の排出、41トン削減

環境大臣賞グランプリの表彰状を受け取った篠崎課長(中央)ら=東京都文京区、伊藤謝恩ホール(壱岐市提供)

 長崎県壱岐市が郷ノ浦町のフグの陸上養殖場で実証実験している再生可能エネルギー水素システム事業が6日、「脱炭素チャレンジカップ2024」で最高位の環境大臣賞グランプリを受賞した。
 脱炭素チャレンジカップは全国の学校・団体・企業・自治体など多様な主体が展開している脱炭素を目的とした地球温暖化防止に関する地域活動について、優れた取り組みを表彰している。実行委(小宮山宏委員長)主催。総エントリーは161件だった。
 壱岐市は2019年、国内自治体としては初めて気候非常事態宣言を発出。50年までに市内のエネルギーを化石燃料から再生可能エネルギーに完全移行する決意を示し、再エネの導入拡大に取り組んでいる。
 同市では、日中は太陽光発電で電力供給し、その余剰電力を利用して水の電気分解による水素(RE水素)を製造・貯蔵し、夜間は蓄えたRE水素を用いて燃料電池で発電した電力を供給する実証システムを稼働させている。併せて、水の電気分解時に副産物的に発生する酸素と、水電解装置や燃料電池から発生する排熱を養殖魚の成育向上に有効活用している。この取り組みにより22年度の二酸化炭素(CO2)排出量を約41.6トン削減した。
 壱岐市の取り組みに対し江守正多審査委員長は「脱炭素に向けて非常に真剣な取り組み。水素発電の実証だけではなく、副産物の酸素や排熱までを使用するという課題を克服するだけでなくプラスアルファの工夫も実証されている」と高く評価した。
 同市SDGs未来課の篠崎道裕課長は「受賞は本市の脱炭素に対する積極的な姿勢が評価された結果だと考えます。今後も市民の皆さまと共に脱炭素実現に取り組んでまいります」と話した。

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