中国、外資に製造業開放の方針 投資促進には実践必要との声も

Joe Cash Yelin Mo

[北京 5日 ロイター] - 中国の李強首相は5日発表した政府活動報告で、人工知能(AI)や宇宙など将来の競争力に不可欠な産業を育成すると表明した。また海外投資家の撤退を食い止めるため、製造業や一部サービス業への参入を自由化する方針を示した。

中国はビジネスに開かれているというメッセージを打ち出した格好だ。コロナ禍後の景気回復が鈍いことや当局の締め付けにより、海外投資家の信頼感が低下していることが背景にある。また技術革新と自給への取り組みは西側諸国との貿易摩擦を生んでいる。

在中国米商工会議所のスタイン会頭は、改革方針は心強いとしながらも、投資を促進するのは発表や投資ではなく「完全かつタイムリーな実行だ」と指摘した。

習近平国家主席は昨年10月の「一帯一路」フォーラムで、製造業への外資参入の自由化を目標に掲げたが、投資家の信頼感向上にはほとんど寄与していない。

国家発展改革委員会(発改委)も5日、製造業の外国投資規制を完全撤廃し、通信や医療サービスなどサービス業でも市場アクセス制限を緩和する方針を示したが、詳細は明らかにしていない。

経済状況の変化により多くの海外投資家が中国の製造業から撤退し、2023年の中国への直接投資は約10年ぶりに減少した。

恒生銀行(中国)のチーフエコノミスト、ダン・ワン氏は「外国人投資家は中国企業との厳しい競争に直面することになる。そのため投資判断は政府の発言ではなく、得られるリターンやグローバル戦略によって決まるだろう」と語った。

李氏は量子技術や生命科学といった分野を切り開き、戦略的産業発展目標を達成するための科学技術プログラムを立ち上げるほか、ビッグデータや商業宇宙飛行、AIへの取り組みを強化すると表明した。

陰和俊科学技術相は記者団に、長期的な戦略に向けて中国は科学技術分野の人材育成に力を入れると語った。

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