「江戸時代から続く田んぼをやめなければ」「このままでは集落は崩壊」 水源地の産廃処分場設置許可を巡る行政訴訟 控訴審始まる 広島

三原市にある産廃処分場をめぐって、住民が設置許可の取り消しを求めている裁判の控訴審がはじまりました。

三原市にある安定型産業廃棄物最終処分場である本郷処分場は、2018年4月、東京に本社がある「ジェイ・エー・ビー協同組合」から設置許可が申請され、2020年4月に県が建設を許可しました。

しかし、三原市と竹原市の住民12人が、「有害物質による水質汚染を想定した環境影響調査が不十分だ」などとして、その年の7月、県に処分場設置許可の取り消しを求める訴えを起こしました。

2023年7月、広島地裁は「業者による水質調査は、環境省の指針に則っていない」などと指摘し、設置許可の判断の過程に「看過しがたい過誤、欠落がある」として県に設置許可の取り消しを命じました。

一方、県はこの判決を不服として控訴しました。

3月5日の裁判では、処分場のすぐふもとの田んぼで代々コメを作っている竹之内昇さんが「周囲では江戸時代から続く稲作が、耕作放棄もされず続いている。しかし汚れた水が入ってしまえば、田んぼが使えなくなる。集落が崩壊してしまう。自分もことしからは休作を決断せざるを得ず身を切るような思いだ。助けてほしい」と、涙ながらに意見を述べました。

意見を述べた竹之内昇さん(農家)
「私たちの命の水が、本当に壊されていっております」

県は、控訴理由書で「業者の調査に過誤・欠落はなく、その判断の過程にも過誤欠落があるとは言えない」などとして、一審判決の取り消しなどを求めています。また業者の代理人は、水質検査について「環境省の指針に基づいて、合理的な範囲で実施している」と答えました。

次の裁判は5月24日に開かれます。

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