ロッテ角中選手の「原点」解体 七尾、開放も倒壊恐れ

角中選手が技術を磨いた室内練習場のバッターボックスを見つめる父稔さん=七尾市伊久留町

 能登半島地震で被害を受けた、プロ野球ロッテ・角中勝也外野手(36)=航空石川高OB=の七尾市伊久留町の実家横にある室内練習場が解体される。小学生時代から父稔さん(65)と二人三脚で打棒を磨き、野球少年に開放されてきたが、地震で土台のコンクリートが崩れ、隣家に倒れる恐れがあり、取り壊しが決まった。

 旧七尾工高野球部員だった稔さんが「日本一の野球選手」の夢を息子に託し、小学1年の時から指導を始めた。イチローさんを目標に、右利きの息子に左打ちを教えた。

 「安打製造機」の原点となった室内練習場は25年ほど前、家に隣接する織物工場を改装して設け、角中選手は1日2時間ボールを打ち込んだ。首位打者2回、最多安打1回を誇る打撃はこの場所で育まれた。

 稔さんから電話で取り壊しを聞いた角中選手は「修繕できないならしょうがない」と残念がったという。今週中にも解体が始まる予定で、稔さんは「勝也のプロの原点。思い出の場所はなくなるが、活躍して能登に元気を届けてほしい」と話した。

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