「生まれて初めて雪を見た」U-20女子アジア杯で批判殺到の除雪なし問題、当事者の豪選手たちが明かした“意外な本音”。「衝撃を受けたわ」「でも楽しんだ」

現在ウズベキスタンのタシケントで開催されている「U-20女子アジアカップ」。今年7~8月にコロンビアで行なわれるU-20女子ワールドカップの予選を兼ねた大会には8か国が参戦し、ふたつの組に分かれてグループステージを戦っている。

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その開幕戦となったのが、現地3月3日の韓国vsオーストラリア戦だ。13時キックオフ時点で気温は0.5度で、猛烈な風と大雪でピッチはあっという間に真っ白に彩られた。運営側はセンターラインやタッチラインを視認できるように雪をどけ、両サイドとゴール前を除雪するだけの応急処置を施し、試合を決行したのだ。当然、なかなかボールが前に進まない劣悪な環境に選手たちは四苦八苦。転倒する選手が相次ぎ、みずから雪かきする場面なども頻発した。試合はオーストラリアが2-1の逆転勝ちを収めている。

このゲームの様子が映像で広く伝わると、世界中のサッカーファンから安全性や選手らの健康面を危惧する声が殺到。AFC(アジアサッカー連盟)や大会を管理するウズベキスタン・サッカー協会などへの非難が止まず、とりわけオーストラリアではメディアや元代表OBらが杜撰な対応と判断に批判の目を向けた。

そんななか、英紙『The Guardian』は「足首まで積もった雪、若きマチルダス(オーストラリア女子代表の愛称)の安全とリスペクトに懸念の声」と題した記事を掲載。「主催者はピッチの外周とセンターサークル周辺だけを除雪し、それ以外は足首まで雪が残るという奇妙な状況に選手たちは対処しなければならなかった」と記し、「ボールが雪の塊にはまり、フリーキックを蹴る前に雪を掘り返すことを余儀なくされ、流暢なサッカーはほとんど不可能となった」と説明している。

同紙はそのうえで「(オーストラリアの)サッカー界から怒りの声が上がり、女子サッカーの国際試合はもっとリスペクトされるべきだと強く主張されている」と伝えた。
一方で、「前例のないコンディションという困難に直面しても、チームは見事に適応して勝利してみせた」と称賛。当事者たちのコメントを紹介し、チームを率いるリア・ブレイニー監督は「何人かの選手にとっては、雪そのものを見るのが生まれて初めてだった。とにかくまずは気持ちを落ち着かせ、順応すべき状況を理解させ、自信とゲームプランを持って試合に臨ませることが重要だった」と振り返っている。

ゴールを守ったGKクロエ・リンカーンは「確かに強烈な経験だった。雪と芝でかなり違う状況だったから。雪の上ではしっかり踏ん張れるのに、芝の上では滑ってしまう。最初はみんな困惑していたわ」と正直な感想を述べつつ、「ただ、初めての経験だったからこそ得るものもあった。肉体的にも精神的にも、このような障壁を乗り越えていくことを私たちは楽しんでいたのよ」と言ってのけた。

さらに、同点弾を決めたFWペタ・トリミスは「あんなところでプレーするのは初めてだったから、かなりの衝撃を受けた。でも、最終的にはより団結できたし、みんなで上手く適応できたと思う。雪が少ないスペースを見つけてはボールを出して、ワイドへワイドへと展開した。そこからクロスを放り込む戦法が一番いいと、試合をしながら気づいたの」と回顧する。

今大会はグループAでオーストラリア、韓国、ウズベキスタン、台湾が、グループBでは日本、中国、北朝鮮、ベトナムが同居。各グループ上位2チームが準決勝に進出し、その4チームにU-20女子ワールドカップの出場権が与えられる。

初戦を勝利したオーストラリアは現地6日に第2戦で地元ウズベキスタンと対戦。ベトナム相手に10-0の圧勝スタートを飾った日本は現地7日、第2戦で中国との大一番を戦う。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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