【ガーデニング】春の新たな主役 ラナンキュラスを咲かせよう!十二単を思わせる花弁の重ね

幾重ものゴージャスな花びら、バリエーション豊かな花色、優雅に開く花姿……。切り花で人気を誇るラナンキュラスは、まさにレディを思わせる麗しさです。ガーデニングではあまり馴染みがないかもしれませんが、話題の多年草タイプもふくめて、庭やベランダで咲かせてみませんか。

★早春の黄色の花★

ラナンキュラスはどんな花

ラナンキュラスは和名をキンポウゲといい、地中海沿岸のヨーロッパ南東部や中近東に自生する球根植物。約500種の仲間があるラナンキュラス属のなかで、ラナンキュラス・アシアティクス(ハナキンポウゲ)という原種から改良された園芸品種をおもにラナンキュラスと呼んでいます。

この原種は十字軍の時代に中東からヨーロッパにもたらされ、トルコで育成された八重咲き品種も16世紀ごろにヨーロッパへ伝来。さらなる品種改良によって現在の園芸品種の原形が誕生しました。日本でラナンキュラスが知られるようになったのは1960年年代。アメリカで育種された品種をもとに、‘ビクトリア・ストレイン’や‘ドリーマー’という巨大輪が日本で誕生してからです。

いまは花弁の中心が緑色を帯びるタイプや、花弁の縁が彩られる覆輪タイプなど、多彩な品種がラインナップ。ラナンキュラスとはラテン語で「小さなカエル」の意味で、大きな切れ込みのある葉の形に由来するといわれます。草丈30~50㎝で、3~5月に開花。夏は休眠する秋植え球根です。

芽出しポット苗を育ててみよう

本来は秋に球根を植えつけますが、プロの生産者が植えたポット苗が3月に出回ります。すでに開花している株もあるので、これを鉢や庭に植えると5月ごろまでつぎつぎに花が咲きあがり、手軽に楽しめるのでおすすめです。

買ってきたポット苗は根鉢をくずさないで、ひとまわり大きな鉢などに一般的な培養土に緩効性肥料をくわえて植えつけます。水はけよく栄養豊かな土を好むため、庭に植える場合は腐葉土をすき込み、酸性を中和する有機石灰と緩効性化成肥料を規定量施してから植えましょう。

秋に植える球根は乾燥した状態です。そのまま植えて水やりすると急激に吸水した球根が腐りやすいので、湿らせたバーミキュライトという園芸用土に埋めるか、濡らしたキッチンペーパーなどに包んでビニール袋に入れ、3日ほどかけて吸水させます。その後に鉢や庭に植えつけるのが日本では一般的な方法です。
*バーミキュライト:鉱物由来で通気性や保水性の高い用土

乾燥している市販の球根

ただ、今回調べてみると、欧米では乾燥している市販の球根を常温の水に3~4時間浸して吸水させ、ふくらんだ球根を植えつけるようです。これは試したことがありませんが、だいぶ手っ取り早いですね。いずれにしろ球根から栽培するより、ビギナーさんは春に芽出し苗を植えるのが安全でしょう。

多年草扱いの新品種が人気爆発

花が終わるとラナンキュラスは地上部の茎葉を枯らして休眠します。ただ、高温多湿が苦手で夏越ししにくいため、日本では球根を掘り上げて陰干し、秋まで日陰で保存するのが一般的です。ただ、保存する間にカビが生えたり干からびすぎたりすることも多く、翌年も咲かせるのはなかなか難しい。

高温多湿が苦手な球根の夏越し

花が終わったら水やりを控えめにして、茎葉が枯れたら水を切ったまま鉢土の中で球根を保存。秋になったら水やりを再開することで、夏越しさせる方法もあります。夏の間に雨水がかかったり、鉢土の温度が上昇しないように気をつけましょう。

さて、こうした夏越しの手間がなく、植えたまま翌年も花が咲くタイプのラナンキュラスが登場して人気を集めています。ラナンキュラス‘ラックスシリーズ’は、従来のラナンキュラスとは別の仲間から誕生した園芸品種。一重や半八重咲きの花が分枝した茎にたくさん咲きます。

‘ラックス’は草丈50~60㎝で、ワックスをかけたように輝きのある花をスプレー状に開花。まだ草丈の低い花が多い春先の庭やベランダで、存在感を発揮します。高さが出るので大きめの鉢に植え、北風を避けて栽培。寒さには比較的強く、北海道南部でも落ち葉のマルチングをすることで冬越しできるそうです。

また、球根ではない多年草タイプのレペンスという原種もあります。従来のラナンキュラスより花は小型の一重咲きですが、手をかけなくても横に広がって群生。‘ゴールドコイン’という園芸品種は八重咲きの愛らしい花を4~6月に咲かせます。やや湿った半日陰でもOK! グラウンドカバーにもなります。

‘ラックス’は年末から店頭に並びますが、レペンスは園芸店ではあまり見当たらないのでネット通販を探すのがよさそう。さまざまなタイプのラナンキュラスをこの春は咲かせてみませんか。


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