思い出のデータ 無償で復旧 富山銀、地震で故障の電子機器対象

松田さん(左)が見守る中、進められるデータの復旧作業=富山銀行本店

 富山銀行は5日、能登半島地震で故障したパソコンやハードディスクドライブ(HDD)などの電子機器のデータを無償で復旧するサービスを始めた。事前に申し込んだ石川県の被災者が大切な写真やデータが詰まった機器を持ち込み、経験と実績が豊富なプロによる復元に期待をこめた。

 富山銀が2020年に業務提携し、東日本大震災や熊本地震でもデータ復旧実績があるデジタルデータソリューション(東京)の協力を得て、被災者を対象に実施した。石川の被災者から6件の申し込みがあり、7日まで富山銀本店(富山県高岡市下関町)で、社員が復旧作業を行う。初日は技術力が高く「ゴッドハンド」の異名がある社員らが、HDDなどを分解し状態を確認した。

 珠洲市のフリーカメラマン、松田咲香(さきか)さん(37)は、倒壊し津波が押し寄せた自宅にあったHDD5台のデータの復旧を依頼。地元の季刊誌「能登」にも提供した写真のデータが入っており「人生を懸けて撮影した写真は財産。内部に水滴はあったが泥は入っていないとのことで、期待し過ぎずに待ちたい」と話した。

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