森保ジャパンは北朝鮮との2連戦にどう挑むべき? 警戒すべき”Wエース”の存在、球際にも注意

森保一監督が率いる日本代表は3月21日にホーム、26日にアウェーで朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表と対戦する。

ワールドカップ・アジア2次予選の突破に向けて大きな2連戦だが、北朝鮮はコロナ禍で国際試合から離れている期間が長く、現在のチームに関しては昨年11月の2次予選のシリア戦とミャンマー戦が貴重な情報源だ。

日本との最新の対戦は、2017年12月に行なわれたE-1サッカー選手権で、開催国だった日本が1-0で勝利している。また2015年には中国の武漢で同大会が行なわれており、その時は0-1で敗れた。ただし、その2試合とも日本は国内組で戦っており、フルメンバーの対戦は2011年のW杯予選に遡る。

3次予選の初戦では、日本がホームで北朝鮮に1−0で勝利。第5戦は逆にホームの北朝鮮が1-0で勝利した。後者は平壌の金日成競技場で開催されたという意味では今回の参考になるが、日本はすでに最終予選進出を果たしていた。

前日入りで、しかも入国審査に4時間を要し、練習時間も大幅に遅れる事態に。タジキスタン戦から中3日だったこともあり、日本にとって不利な要素だらけだった。また中心選手だった香川真司や遠藤保仁を外していたことは考慮する必要がある。

今回は仮に予定通り平壌での開催が実現した場合、国立でのホームゲームから中4日で移動となるので、当時よりマシかもしれないが、他国とは比較にならない絶対アウェーでの戦いになるのは間違いない。その意味でもホームの試合で確実に勝利して、2次予選の突破に大手をかけたい状態で心理的なアドバンテージを奪っていきたい。

すでに行なわれた2次予選の戦いを参考にすると、北朝鮮はアウェー扱いだったシリアとの試合で0-1と敗戦したが、PKによる1失点以外は粘り強い守備でシリアを苦しめた。

アウェーのミャンマー戦はエースのFWチョン・イルグァンがハットトリックを達成するなど、6-1で大勝を飾っている。スイスリーグのルツェルンに在籍したこともあるチョン・イルグァンと10番を背負うクァン・ソンハンが”Wエース”のような存在で、”森保ジャパン”にとっても警戒するべき2人だ。

ミャンマー戦はチョン・イルグァンとクァン・ソンハンにペク・チョンソンを加えた3人がセンターで3トップを形成し、左利きのMFチョ・ジュソンなどが幅広く動いてチャンスメイクをしていた。

日本戦ではボール保持率が50パーセントを上回ることは考えにくく、ミャンマー戦のような厚みのある攻撃は考えにくいが、チョ・ジュソンがボールを持った時に、周囲のアタッカーが前向きにスイッチを入れてくるのは要注意だ。

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また右サイドバックのチョ・オクチョルが攻め上がれば、ゴール前でFWが身体を投げ出して合わせてくるので、相手サイドバックに深い位置まで上がらせないことは大事になってくる。

守備はやはりシリア戦のほうが参考になる。基本的には自陣寄りに守備のブロックを敷きながら、局面でタイトなデュエルに持ち込む。キャプテンのチャン・ククチョルを中心とした粘り強いディフェンスであり、20歳のキム・ヨスンとのコンビはシリア戦でも、流れの中で得点を許さなかった。

ちなみに失点シーンはワイドからのロングボールの処理で、エリア内で大きくバウンドしたボールを巡って、GKカン・ジュヒョクが相手選手を浴びせ倒してしまったものだった。

シリア戦では4-1-4-1、ミャンマー戦は左右のアタッカーを高めにした4-3-3で戦っているが、先日”なでしこジャパン”と対戦した女子代表がそうであったように、蓋を開けたら5バックであったり、ホームとアウェーで戦い方をガラッと変えてくる可能性もある。ただ、昔のような完全なマンツーマンでくるようなことは考えにくい。

注意しないといけないのは球際のところだ。そこまで悪質でなかったとしても、特に北朝鮮ホームの試合では、微妙なジャッジが北朝鮮側に有利に働く可能性もある。

なるべく相手陣内でサッカーを進めながら、ロングボールをいかにはっきりと処理していくか。支配的にゲームを進めながら隙を与えない戦い方が大事になってきそうだ。

取材・文●河治良幸

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