スクールカウンセラーらが都に250人雇い止め撤回求め会見

東京都が採用している学校で児童や生徒の悩みを相談できるスクールカウンセラー250人が来月、一斉に解雇されることを受け、当事者らが会見を開き、東京都に撤回を求めました。

「人を大切にするはずの教育者がこのような対応をするとは、人権を無視した非人道的な扱いと言わざるを得ません」

なぜ250人ものカウンセラーが解雇されることになったのか。東京都のスクールカウンセラーは年度ごとに契約が必要な職種で、東京都では4回までは面接なしで更新し、その後は公募で契約を行うと定めています。この制度に基づき、面接を行った結果、今回、250人が雇い止めと判断されました。

3月5日、臨床心理士らでつくる労働組合「心理職ユニオン」が会見を開き、選考基準があいまいだとして雇い止めの撤回を求めました。

心理職ユニオン:「(都は)「長年働いてきた経験や勤務実績というのは採用の基準に入れていません」と言っている。具体的にどういう基準で採用しているのか聞いても、都教委は「答えられない」と、「あくまで面接で見て採用している」という回答に終始している。児童・生徒と学校にとっても、継続して働くことが教育の質、スクールカウンセラーの支援の質にも直結するんだと」

さらに雇い止めにあった現役のスクールカウンセラーは…

「今回のような不透明な採用基準、理不尽な雇い止め、専門性の軽視、現場の声を聞き入れない、このことを即刻停止し改めていただきたい。こんな倫理観のない決定は二度とやめてほしい」

勤務実績を採用基準に入れていないことについて、東京都教育委員会は「新規で採用を目指す人との雇用機会の均等を維持するため」だとし、現職の採用率は8割ほど、新規は6割ほどで、「ベテラン」と呼ばれる現職を雇い止めにする意図はないと説明しています。

東京都としては、雇い止めは全体の2割のみで、選考も公平・公正に実施したとしていて、スクールカウンセラーが交代しても子どもたちが不安を感じない仕組みになっていると説明しています。

一方で、現職のスクールカウンセラーからは「合否の基準が分からず、雇用も安定していない」と制度に対する不安と不満の声が上がっています。何より担当している子どもたちや保護者への影響を不安視しています。

また制度について、総務省は各自治体に対して、再度の任用について、前の任期における勤務実績を考慮して選考は可能だと通知していて、会見を開いたスクールカウンセラー側は、東京都の対応は問題だと指摘しています。また、総務省は再任を行わない場合、事前に十分な説明や、求人を紹介等の配慮をするのが望ましいと明記しています。

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