【早出し】鳥海さん、吉川英治文化賞 遊佐出身、書体設計士

鳥海修さん

 吉川英治文学賞(吉川英治国民文化振興会主催)など各賞が5日発表され、文化活動の貢献者らに贈られる第58回吉川英治文化賞に、遊佐町出身で書体設計士の第一人者の鳥海修さん(68)=長野県安曇野市=が選ばれた。長年にわたり日本語文化になくてはならない書体を作る仕事を続けてきた成果が評価された。

 書体設計士は、新聞や小説などで使う書体を作る。鳥海さんは酒田工業高(現酒田光陵高)を卒業後、多摩美術大に進学。1979(昭和54)年に写真植字機メーカーの写研に入社し、書体デザイナーとして勤務した。89年には仲間と字游(じゆう)工房を設立。米アップルのパソコン「Mac(マック)」の基本ソフト(OS)で標準搭載された「ヒラギノ書体」や、「游明朝体」など100以上の書体開発に携わった。著書に「明朝体の教室」「文字を作る仕事」などがある。

 受賞を受け、鳥海さんは「『宮本武蔵』や『三国志』など吉川英治の作品をたくさん読んできた。その名を冠した賞を頂けて光栄」と喜んだ。書体作りを続ける上で、古里・遊佐での体験や原風景の存在は大きかったとし、「文字は文化の下支えだと思っている。これからもその文化をつないでいきたい」と話した。

 文化賞は鳥海さんのほかに2団体が受賞した。贈呈式は4月11日に都内で行われる。

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