サクランボ凍霜害に備え県が対策会議 中旬から気温上昇注意

凍霜害に備え、早めの準備を呼びかけることを確認した会議=山形市

 サクランボの凍霜害が懸念される時季を前に県は5日、山形市の県自治会館で対策会議を開いた。花芽の成長は2月下旬以降の低温で落ち着いているが、3月中旬以降に予想される気温上昇により被害があった昨年並みに成長が早まり、被害に遭いやすくなることが懸念される。会議では、早期に対策の準備を整えるよう生産者に呼びかけることを確認した。

 サクランボは降霜で雌しべが凍り枯死すると実を付けなくなる。県によると、発芽から10日ほど経過し雌しべの長さが2ミリを超えると被害に遭いやすい。県園芸農業研究所(寒河江市)では4日現在、長さは「佐藤錦」が0.89ミリ、「紅秀峰」が1.03ミリ。いずれも暖冬の影響で2月中旬までは昨年より成長が早かったが、現在は同程度となっている。

 昨年は3月の気温が高く発芽が平年より早まり、3月29日から4月25日にかけて計6回の降霜があり、被害が発生した。山形地方気象台によると、今年も今月9日以降の気温は平年並みか高めで推移する見込み。

 会議は各総合支庁やJAの担当者約30人が参加。県の担当者は「今後の気温上昇で急激に雌しべが伸び、被害が発生しやすい段階になる可能性がある」と強調した。被害防止へ、ヒーターの燃焼資材確保や「散水氷結法」設備の試運転といった準備を早期に整え、摘芽では花芽を多く残すよう促すことを確認した。15日から今年の運用を開始する県の「低温アラート」や対策マニュアルの活用も呼びかけていく。

 県内は2021年の春先に広範囲で霜の被害に見舞われ、農業被害の総額は記録が残る1963(昭和38)年以降で最悪の130億700万円に上った。特にサクランボの被害が甚大だった。

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