「付き合いたくて…」 婚活アプリで金銭被害 170万円貸した女性が音信不通 40代男性の後悔 長崎

マッチングアプリは手軽に出会いの機会が得られる半面、トラブルに巻き込まれる可能性もある(写真はイメージ)

 婚活アプリで知り合った女性に相談を受け、金を貸したら音沙汰がなくなり、逃げられている-。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」にそんな情報が寄せられた。手軽な出会いの手段として普及している半面、恋愛感情を利用したトラブル事案も少なくないマッチングアプリ。金銭被害を受けた男性は「今思えばおかしな点はあるが(当時は)付き合いたい気持ちもあり、信じてしまった」と苦々しい思いを語った。
 長崎県内の40代の男性会社員は昨冬、有料のマッチングアプリに登録した。居住地が近く、ドライブが趣味という共通点から40代女性と意気投合し、すぐに会うことに。初めて会った日、一通りの世間話が終わると、女性が涙ながらに相談してきた。聞けば、別れた夫の連帯保証人になっており、借金の返済期限が迫っているという。
 初日に身分証を提示し合ったこともあり、男性は「何の疑いもなく、助けてあげたいという気持ちに傾いてしまった」。翌日、恋人として付き合うことを条件に約170万円貸すことを承諾した。このうち、10万円の返済期限を昨年12月末に設定。残りは、女性から結婚をほのめかす話もあったため、返済期限を10年後にし、借用書を作った。
 数日後、男性はATMで全額入金した。すると、それまではLINE(ライン)で1日50件近くのやりとりをしていたが、入金した翌日から「仕事が忙しい」などの理由で1、2件に激減。ついには連絡がつかなくなった。
 男性は2月下旬、弁護士に相談したが「10年後の返済期限」を記した借用書の存在があるため、どうにもできず、取り戻すには10年後に訴訟を起こすしかないという。返済期限を過ぎた10万円すら戻ってきていない。
 警察に相談しても「事件にはできない」。あらためて女性にラインでメッセージを送ったが、ブロックされ、電話をかけても「ただいま電話に出ることができません」と繰り返し流れるだけだった。今、女性の所在は分からない。
 男性は「わらにもすがる思いで婚活アプリを使ったのに、だまされて涙が出るくらい悔しい。金輪際、人を安易に信用しないようにする。今後、私のような被害者が出ないことを願う」と話した。
 日本司法支援センター(法テラス)によると、マッチングアプリに関連する相談件数は、2019年度の約150件から23年度(3月5日現在)は約600件と4倍に増加。恋愛感情に付け込んだ投資詐欺や望まない性行為の被害などが全国各地で起きている。
 県内でもマッチングアプリを含む交流サイト(SNS)を入り口とした金銭トラブルが増えているといい、県消費生活センターは「だます目的で近づいてくる人もいる。少しでもおかしいと感じたら相談窓口に連絡を」としている。

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